【妊活情報②】 妊活中の糖質制限がお勧め出来ない理由
糖質制限ダイエット
一度は耳にしたことがある人がほとんどだと思います。
それぐらい一般的になってきた糖質制限、妊活や不妊治療に絡めた糖質制限の話題もよく見かけるようになってきました。
しかし、賛否ある糖質制限。
本当に妊活や不妊治療中に糖質制限を取り入れても大丈夫なのでしょうか?
この記事では、妊活中に糖質制限を行うリスクについてお伝えしていきます。
糖質の役割とは
糖質とは、三大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質)の1つ「炭水化物」から「食物繊維」を除いたものになります。
糖質は穀物やイモ類に多く含まれています。
砂糖やブドウ糖や様々な甘味料もこの糖質に含まれます。
糖質を摂りすぎると血糖値を上げたり、過剰な糖質を中性脂肪に変えて体内にため込み肥満の原因にもなります。
とはいえ、糖質は、私たちの生命維持には欠かせないものの一つであり、私たちが活動する時のエネルギー源になります。
糖質は取りすぎても、不足していても健康にはよくありません
糖質制限が本当に必要な人は多くない
ここ数年で一般的に知られるようになってきた”糖質制限”ですが、本当に糖質制限が必要な人はそこまで多くありません。
例えば、糖尿病で食事制限が必要な人や、BMIが30以上でダイエットが必要な人は、食事に糖質制限を取り入れることもありますが、それはあくまでも治療の一環であり、医師や管理栄養士の指導の下で行う必要があります。
しかし今の糖質制限ブームは、本来糖質制限が必要ない人まで行っています。
中にはこれ以上、体重を減らすことはお勧めできないような人までが糖質制限に取り組んでいるのが今の現状です。
そしてこの”糖質制限”が妊活分野にも入り込んできています。
妊娠率アップ
子宮内の環境改善
卵子のアンチエイジング
様々なうたい文句を見かけますが、実際のところの妊活への効果はよくわかっていません。
また糖質制限には賛否両論あり、健康へのリスクを訴える人もいます。
安易に糖質制限に手を出す前に、本当に糖質制限が必要かどうか見極める必要があります。
糖質制限が妊活に及ぼす影響とリスク
糖質制限は、妊活への効果がわかっていないばかりか、間違った糖質制限は逆に妊娠を遠ざけてしまう場合もあります。
糖質制限はそのままダイエット、体重減少に繋がることがほとんどです。
女性にとっては、糖質制限で妊娠しやすくなって、ダイエットにもつながれば一石二鳥って思う人も少なくないでしょう。
しかし、ちょっと待ってください。
この体重減少が妊娠に悪影響を及ぼす可能性があるのです。
そもそも妊娠に適した体重はどれぐらいなのでしょうか?
標準体重はBMI18.5~25です。
身長160センチの場合だと、48㎏(BMI18.75)から64㎏(BMI25)がこの範囲に入ります。
ちなみに不妊症のリスクが低くなるBMIは20~24で、もっとも理想的な数値はBMI21と言われています。
身長160センチの場合だとBMIは20~24は52㎏~62㎏、BMI21は54㎏になります。
160センチで54㎏…
この数値を見てどう感じますか?
ちょうどいいぐらいと思う人もいれば、ダイエットしなければ…なんて思う人もいるでしょう。
どちらかというと後者の方が多いのではないかな?と思います。
それぐらい日本人はやせ志向が強く、雑誌などのメディアでもやせ志向を煽るような内容が多くみられます。
また、SNSはダイエットをビジネスにしている人の情報が溢れかえっているので注意が必要です。
雑誌などで160cmで45㎏なんてキャッチコピーを見かけますが、まずはその身長と体重のBMIを計算してみましょう。
この場合、BMIは17.5に…
残念ながら、ネットや雑誌のダイエット情報はBMI20以下を目標にさせるようなものであふれかえっているのです。
そしてそられらの中には、糖質制限でのダイエットを推奨するものも少なくありません。
実は肥満より、痩せの方が妊娠への影響が大きいとも言われています。
極端な体重減少は無排卵のリスクがあがります。
生理は来ているし、基礎体温も2層になっているから私には関係ない…と思う人もいるでしょうが、生理が来ているからと必ずしも安心はできません。
極端な体重減少は卵巣機能が低下する原因にもなるからです。
妊活のためにと始めた糖質制限が逆に不妊の要因を作ってしまっている場合もあるのです。
ただし、肥満で多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や無排卵の場合は、減量することで自力での排卵が可能になることもありますので、BMI25以上で排卵障害がある場合は、適度に減量することも必要です。
糖質制限に手を出す前に、まずは自分のBMIを確認しましょう。
そして、BMIが基準値内の場合はむやみに糖質制限を行うことはお勧めしません。
必要なのは糖質制限ではなく、摂取している糖質量のコントロールです。
糖質は制限ではなく上手にコントロールしよう
とはいえ、私たちの食事は知らず知らずのうちに糖質過多になりがちです。
忙しいと、どうしても手軽なパスタやうどんや丼ものに偏りがちですし、パンやおにぎりだけで食事を済ましてしまうこともあります。
過度な糖質制限を行う必要はありませんが、食事が糖質ばかりに偏りがちであれば少し見直しが必要です。
野菜やたんぱく質、脂質も食事にプラスするようにしましょう。
特にたんぱく質は意識して食べるようにしないとどうしても不足しがちです。
外食する際は、単品メニューではなく定食を選ぶと、糖質以外のものもバランスよく食べることが出来ます。
忙しくてコンビニで買う際も、ゆで卵やチーズ、チキンなどを1品加えてみてください。
糖質を制限することに意識を向けるのではなく、足りていない栄養素をバランスよく追加していくことを考えてみましょう。
ただし、少し制限してもいい糖質もあります。
それは甘い飲み物やお菓子などです。
食事中でも常に糖分の入った甘い飲み物を飲んでいる人は、砂糖の入っていない飲み物に変えましょう。
また、飴やガム、チョコレートなどを常に食べている場合も、一部を甘くないお菓子に変えるようにしましょう。
過度な糖質制限は必要ありません。
でも、日常的に糖分を摂りすぎている場合は、少し見直して糖質摂取量をコントロールするようにしてみましょう。
糖質は、私たちが生きるために必要な栄養素です。
妊活のためにとはじめた糖質制限が、逆に妊娠を遠ざけている可能性もあります。
特に標準体重から痩せ型のタイプの方には糖質制限はお勧めできません。
糖質をむやみやたらに制限するのではなく、うまく付き合っていくようにしましょう。
またどうしても糖質が気になる場合は、白米や小麦を玄米や全粒粉などに変えてみるのも一つの方法です
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