【働く妊活】 不妊治療と仕事の両立 不妊治療休暇に潜む問題点とは?

前回の内容…
滋賀県甲賀市で職員の要望を受けて不妊治療休暇の導入が進められていますが、そもそもなぜ?不妊治療休暇が必要なのか?
6ヶ月もの休暇が必要な理由を3つの視点から書いてみました

その記事はこちらから

【働く妊活】 不妊治療と仕事の両立のために不妊治療休暇が必要な理由とは?

 

今回はその続き「不妊治療休暇制度の潜む問題点」について書きたいと思います。

 

 

不妊治療休暇制度に潜む問題点

 

市で職員の声を受けて制度が出来たことはとても凄い事ですし、ぜひ滋賀県内にこの動きがもっと広まっていけばと思いますが、実は制度をつくっただけでは形だけの制度になりかねないリスクがあるのがこの「不妊治療休暇」なのです。

では、どのような問題点が潜んでいるのでしょうか?

 

1 休暇終了後に必ずしも妊娠しているとは限らない

 

休暇を取得したからといって誰しもが必ず妊娠するわけではないのが不妊治療です。
「せっかく休暇をもらったのだから妊娠しないと復帰しにくい…」
そんな風に当事者が感じてしまうと、使用しにくい制度になってしまう可能性もあります。

実際に妊娠しなかった時の周りの目が気になって、制度があっても使えないというのはよく伺う話です。

また、制度を使う人が増えれば、Aさんは妊娠したのにBさんは妊娠しなかったんだね…と言われてしまう可能性も無いわけではありません。

そもそも40歳以上になると不妊治療をしても9割近い人は妊娠辿り着きません。

そもそもこの不妊治療休暇の認識が
・妊娠をしてもらうためのものなのか?
・仕事を気にせずに悔いなく治療に専念してもらうためのものなのか?

を明確にしておくことが必要ですし、社内で共通の認識を持っていることが非常に重要になってきます。

あくまでも不妊治療休暇は「仕事を辞める事なく不妊治療と仕事の両立をサポートする制度」であって欲しいと思います。

だからこそ、不妊治療と仕事の両立支援制度を作る際は同時に、不妊治療や妊娠の基礎的な知識も社内で共有していく必要があります。

 

2 休暇終了後の妊活、不妊治療の進め方について

 

次の問題は休職期間からの復帰後の妊活・不妊治療の進め方です。
6ヶ月と言う期間で結果が出る人もいれば出ない人もいます。

しかし年齢によっては休職の6ヶ月の期間が過ぎたらと言って不妊治療の継続をあきらめてしまうには早い年齢もあります。

休職期間内に子どもを授かる事が出来ずに、結局治療を続けるために仕事を退職するという選択をしてしまっては何の為の制度だったのかわからなくなってしまいます。

不妊治療休暇後にどのように治療を続けるのか?
それは当人にとっても、会社側にとっても大きな課題です。

場合によっては期限付きでの時短制度の導入や優先的に有給が取得できる仕組みなどが必要になってくるのかもしれません。

と、同時に当事者達もまた、自分の治療プラン(期間・辞め時も含めて)を立ててどのように仕事と治療の両立をしていくのかを考えていく必要があります。

制度があるからとりあえず制度を使用する、治療はクリニック任せ…と言う考え方ではなく自分自身が主体性を持って進めていくことが必要になってきます。

そのためには当事者本人も正しい知識を付けることが必要になってきますし、そういう不妊治療当事者を知識面や情報面でサポートする仕組みも必要になってきます。

残念ながら今の不妊治療クリニックにその機能があるかというと十分ではないのが現状です。

 

 

3 どのタイミングで不妊治療休暇を取得するのがいいのか?

 

上の話にもつながるのですが…

6ヶ月しかない不妊治療休暇を取得するにはどのタイミングで取得するのが良いのか慎重に考える必要があります。

少なくとも一通りの検査や治療方針が確率するまでは休暇を取得せずに遅刻や早退、残業免除で対応していく方がいいでしょう

遠方のクリニックへの転院を考えている場合でも、土曜や日曜の診療があるクリニックもある為、まずは仕事に支障のない日に受診し、ある程度の治療の方向性が決まってから休暇取得を決めるのでも遅くありません。

もちろん、会社によっては人員補充などが必要な場合もあるでしょうから、どのタイミングで上司に相談するのが良いのか等はあらかじめ確認しておく必要があります。

せっかくの制度ですから、一番良いタイミングで使えるように考えておくことも必要です。

 

4 制度はあっても運用する側に知識はあるのか?

 

実は一番の問題がここではないかと私は考えています。

制度はつくった、でもこれを運用する会社の社員や職員にどれだけの不妊治療に関する知識があるのかということは重要なポイントになってきます。

知識がない、情報がない為に心ない言葉をかけて、当事者を傷つけてしまう人も少なくありません。

どれだけ従業員や職員に制度について、不妊について研修出来るのかが制度運用の大きなカギを握る事になります。

また、使用したい当事者に取得のタイミングなど適正なアドバイスが出来る人も社内に必要になってきますし、直接部下から相談される上司にはその相談にこたえられるような知識も必要になってきます。

この研修制度をしっかりしたものにしておかないと、せっかくの制度も絵に描いた餅になりかねません。

 

5 職種や地域によっては長期の休暇制度よりフレキシブルな働き方を求めている場合もある

不妊治療の休暇制度、地域や職種によっては長期の休暇制度よりフレキシブルな働き方を求めている場合もあります。

特に都市部のように近くに通院できる高度生殖医療の専門クリニックがある場合や、在宅勤務が可能な職種の場合などは、長期の休暇制度より、時間有給や在宅勤務などが求められる場合があります。

これは職種や地域によっても求める物は様々です。

不妊治療と仕事の両立支援の制度は、一つの方法にこだわるのではなく当事者が状況にあわせて選ぶことが出来る制度が一番使いやすい制度になっていくのではないかと思います。

 

社内で制度は作ったが、制度を使うまでの研修まで手が回らないという企業も少なくないように感じます。
自社内で調べながら研修を行うのであれば、そのような研修が可能な外部機関を活用するのも一つの方法ではないでしょうか?

 

 

 

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