【働く妊活】 不妊治療と仕事の両立のために不妊治療休暇が必要な理由とは?

2018年に滋賀県の甲賀市が「不妊治療休暇」導入する方針を決め議会に提出したというニュースがありました。
従業員の問い合わせから潜在的ニーズがあると考え、最長6ヶ月男女ともに休暇取れる制度だということです。

なぜ不妊治療のための休暇が必要なのか?
一般的な疾患と同様に働きながらの通院は難しいのか?

この記事では不妊治療休暇が必要な理由についてお伝えしていきます。

 

不妊治療で通院するってどんなイメージ?

 

最初に不妊治療で通院と聞いて、思い浮かべるのはどのようなイメージなのでしょうか?
「イメージできない…」
これが、多くの方の答えなのではないでしょうか?

・月に1回の通院でOK
・体外受精1回で妊娠できる
・月に数回決まった日に定期的な通院でOK
・近所の産婦人科でOK

こんな風なイメージを持っている方もいるかと思います。

 

しかし、実際のところは…

・人によって一月当たりの通院日数はさまざまである
・1回や2回の通勤でOKな人もいれば5回 6回 10回近く通院する人もいる
・体外受精1回で妊娠できる人もいれば、5回、6回と体外受精に挑む人もいる
・通院は生理周期や排卵の状態によって決まる為、毎週月曜日など決まった日の通院ではない
・生理周期が安定しない人は特に予定が立てにくくなる
・排卵のタイミングあたりでは通院回数が増える
・不妊治療の専門クリニックに通おうと思うと必ずしも近くのクリニックでOKとは限らない
・通院時間、待ち時間だけで1日が終わってしまうこともある

さっと思いつくだけあげただけでもこれだけ上がってきます。

まわりが思っている以上に通院回数も多く時間も取られるのが不妊治療なのです。

 

なぜ6ヶ月もの不妊治療休暇が必要なのか?

 

しかし、なぜ6ヶ月もの不妊治療休暇が必要なのか?
仕事に通いながら午前休暇が仕事が終わってから、土・日診療などで通院は出来ないのか?

そう思っている人も多いかと思います。

休職制度が必要かどうかは地域や業種によっても変わってきます。

 

1 周りに不妊クリニックがあまりない環境

今回制度導入を決めたのは滋賀県甲賀市という場所
実は周りにあまり不妊クリニックのない環境です。

東京や大阪のように仕事終わりに通えるようなクリニックがあまりありません。
県内のクリニックであっても通院に1時間以上
県外のクリニックを選べば片道2時間ぐらいかかることも少なくありません。

そしてこれは「不妊治療」特有の状況ですが、不妊治療にはガイドラインがない為、治療方針や技術がクリニックによって様々です。
その為、自分にあったクリニックや治療方法を求めて職場や住居から遠く離れたクリニックに通う事も珍しくはありません。

その為仕事が終わってからクリニックに通うということが行いにくい環境にあります

 

2 シフトなどの影響を考慮して

在宅ワークが可能な職種や、ある程度自分の裁量でその日の仕事内容を調整できる職種の場合は、仕事をしながら治療を続けることも可能ですが、シフト制の仕事や、急な休みがとりにくい職種の場合は、不妊治療の通院の為とはいえ頻繁に急に休むことは出来ません。

看護師や保育士などは、特に患者が子供の人数に対して配置される人員が決まっていますから、急なシフト変更を何度も行うことは難しくなります。

それ以外にも、工場の製造ラインを担当している場合も度々の休暇はやはり嫌がられるでしょう

もともとその作業に与える人員数をもとに製造や生産の計画を立てられることがほとんどだからです。
それ以外にも担当制のある職種なども、度々の急な休暇は職場を困らせる要因になってしまいます。

このように急な休暇に対応しにくい職種の場合は、時間有給などの制度より数か月単位の休暇制度の方が結果的に活用しやすい制度になります。

 

3 余計なストレスにさらされずに治療に集中する為

ストレスと不妊の関係は明らかにされてはいませんが、子どもが授からない、不妊治療に通うという事は当事者にとっては大きなストレスです。
そこに不妊治療と仕事を調整しながら、直前でしか日程が定まらない通院に関して周りにお願いしながら治療に通う事は、周りが思っている以上にストレスがかかってきます。

また、制度が整えられていても必ずしもすべての人が理解を示してくれるとは限りません。
知らない事が原因で心無い言葉をかけてしまう人もいるでしょう。

不妊治療は保険が効きません。
補助金があるとはいえ50万以上の大金を治療に使うわけです。
出来るだけ他のストレスに左右されずに治療に専念したいと思う人も少なくありません。

精神的に追い詰められている人にとって、治療と仕事の両立は困難なものになります。

実際に2021年に発表された、国立成育医療研究センター 研究所の発表では体外受精などの高度不妊治療を受ける女性の約半数が 治療開始初期の段階で、すでに軽度以上の抑うつ症状あり というデータも出ています。

それだけ多くの女性がストレスを抱え、うつ症状を抱えながら仕事と治療の両立をなんとかやり繰りしています。

だからこそ、少しでもストレスを軽減させることは必須です。
うつの症状が重くなれば妊娠どころではなくなってしまうからです。

しかし、年齢は待ってくれません。
治療を中断するという事は、人によっては子どもを授かることをあきらめるということにもつながります。

そのため、まずは仕事をセーブしながら不妊治療に専念するという選択をする場合もあります。
今までなら両立が難しい場合は、退職するしかなかった選択肢はありませんでしたが、休暇制度が導入されたことで不妊治療をしながらも仕事をやめずに済むことが可能になります。

 

 

 

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