【不妊治療情報④】 体外受精からステップダウンする?しない? ステップダウンを考える時に知っておきたい事

体外受精 ステップダウン

「体外受精から人工授精にステップダウンしたら妊娠した」「体外受精で通院していたが、通院お休み中に自然妊娠した」このような話を聞くと、自分も治療をステップダウンしようかな?一度、不妊治療を休もうかな?と思うかもしれませんが、それはちょっと待ってください。

確かにステップダウンした後や、治療休憩中に妊娠に至る人はいます。しかし、それらは残念ながら、誰にもでも起こりえることではありません。

この記事では体外受精からのステップダウンを考えた時に知っておいてほしいことについて説明します。

 

 

ステップダウンで妊娠率があがることはない

 

まず知っておいてほしいことは、不妊治療のステップダウンで妊娠率が上がることはないということです。そのため、妊娠率を上げるためにステップダウンするという選択肢は基本的にはあり得ません。

そのため、妊娠率を優先するのであれば体外受精を続けることがベストな選択肢になります。

 

 

ステップダウンが適さないカップル

 

妊娠率を優先するのであれば、体外受精を続けることがベストな選択肢にはなりますが、最終的に体外受精を続けるかステップダウンするか決めるのは、パートナーと共に2人で決断することになります。

とはいえ、体外受精からステップダウンすることで妊娠の可能性がほぼゼロになってしまうカップルもいます。

・両側卵管閉塞の場合
・無精子症でTESEによって精子が回収出来た場合

これらの原因がある場合は体外受精をやめることは、基本的には妊娠を諦める覚悟が必要です。

また、乏精子症の場合や運動率や精子形態に問題があって、顕微授精でしか妊娠が望めない場合なども、体外受精からのステップダウンでは妊娠がかなり難しくなるでしょう。

それ以外にも重度の排卵障害の場合なども、あまりステップダウンはお勧めできません。

 

 

ステップダウンが選択肢となる場合

 

ここからは、ステップダウンを一つの選択肢として考えられる場合について説明していきます。

とはいえ、最初にも書きましたが、妊娠を希望するのであれば、体外受精の方が確率はあがります。そのため、まずは医師としっかりと相談して、ステップダウンするかどうかを判断するようにしてください。

 

男性不妊の状態が改善している場合

 

精索静脈瘤の手術やなんらかの薬物療法で精子の状態が改善している場合は、体外受精からステップダウンしても妊娠を望める場合があります。

とはいえ、他にも不妊の原因がある場合もありますし、回復している検査値にもよるため、まずは医師と相談して今後の治療方針を決めることが必要です。

3回だけ、半年だけと回数や期間を決めてステップダウンするのも一つの方法かと思います。

 

原因不明不妊で出来る範囲の治療や検査をやり終え、今後の方針に悩んでいる場合

 

特に女性側にも男性側にも明らかな不妊の原因は見当たらず、2件、3件と転院も行い、保険診療だけではなく、自費診療の治療も検査も行ったが妊娠に至らない。割合的には多くありませんが、このようなカップルの場合、今後このまま治療を続けるのか、それとも治療を終わりにするのかという点で悩まれる方も少なくありません。

このような場合は、治療をステップダウンさせながら、今後の治療方法を考えるのもひとつの選択肢になります。

ただ治療をステップダウンしている間にも年齢を重ねるため、年齢によっては早めに今後の方針を決める必要もあります。

また、体外受精は終わりにするが、納得いくまで人工授精やタイミング治療を続けるのも一つです。

 

卵管閉塞や無精子症などの原因がなく保険診療の適用外になった場合

 

保険診療の6回が終了した、年齢的に保険診療外になった場合で、卵管閉塞や無精子症などの原因がない場合は、ステップダウンも一つの選択肢になります。

妊娠の可能性を考えると、自費でも体外受精を続けた方が可能性は高いのですが、費用的に難しいというカップルもいるでしょう。

また、体外受精は保険診療内のみで行うと決めて、治療を開始しているカップルもいるかもしれません。

もちろん保険診療が終了したタイミングで、妊娠を望むことを終わりにするのもありです。
とはいえ、そこまですんなりと気持ちの整理がつかないという人もいるでしょう。

そのような場合は、いきなり全ての治療を終了にするのではなく、まずは人工授精やタイミング治療にステップダウンしてみるのも一つの方法です。

 

体外受精の継続が難しくなった場合

 

仕事との兼ね合い、経済的、時間的、精神的、様々な理由で体外受精の継続が難しくなることは少なくありません。

地方在住であれば、都市部の不妊治療クリニックに通院するために休職していたが、休職期間が終了し仕事に復帰しなければならない場合もあるでしょう。

保険診療の回数を超えてしまい、1回、50万~100万近くする治療費の捻出が難しくなることもあります。

精神的にまいってしまい、いったん治療を中断せざるおえない場合もあるでしょう。

治療を継続出来ない場合は、治療をいったんステップダウンしご自身の可能な範囲で不妊治療を行うことも可能です。

ただこのような場合は一度クリニックで相談してみるのも一つです。必ずしも解決策を提案されるとは限りませんが、自分が思ってもみなかった提案がされる場合もあります。

まずは一人で悩まずに、相談されてみてください。

 

 

 

不妊治療は出口の見えない治療とも言われます。なかなか妊娠に繋がらないと、周りの話や情報についつい流されそうになりますが、その選択肢が本当に自分の状況に適しているのかどうかしっかりと見極める必要があります。

体外受精からのステップダウンは決して、前向きな治療選択方法ではありません。

男性不妊で精子の状態が改善しているという場合を除いては、どちからというと、お二人の中で、不妊治療や妊活終結に向けて心の整理をしていく時間という意味合いの方が強くなります。

結果の見えない治療を続けていると、どうしても心折れそうになりますが、今自分達にとって「ステップダウン」という選択肢が本当にベストなのかどうか慎重に判断してみてください。

 

 

 

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