【妊活情報⑤】体重と不妊の関係 肥満だけではなく痩せすぎも不妊のリスクがあがる 適正体重と不妊治療の進め方
妊活を始めて1年。1年経ってもなかなか妊娠しないからと不妊クリニックを受診したら、「まずは痩せないと不妊治療は出来ません」そう言われて、ショックを受けたという話を聞くことがあります。
確かに、「適正体重」に体重を維持することは、不妊治療だけではなく、その後の妊娠生活を考えても大切なことです。
また、妊娠・出産だけではなく、その後の健康を維持することを考えても「適正体重」を維持することは必要になってきます
しかし、ただやみくもに「痩せろ」と言われてもどうしたらいいのかわからない人も少なくないでしょう。
もうすでに何度もダイエットに挑戦しては挫折しているという人もいるかもしれません。
「痩せろ」と言われて痩せられるならとっくに痩せているわ…と心の中で毒ついてしまうこともあるかもしれません。
また、痩せる=モデルのような体型 を想像してしまう人もいるでしょう。
適正体重とは何か?「痩せなさい」と言われた際にどうしたらいいのか?解説していきます
適正体重とは?
そもそもただ漠然と「痩せなさい」と言われても、ベスト体重が何キロかわからない…という人もいるのではないでしょうか。
標準体重は、BMI18.5~25を指します。
ですので、身長160cmの場合は、48㎏~63㎏がこの標準体重の中に入ることになります。
ちなみにBMI22が統計的には最も病気になりにくい数値と言われています。
身長160㎝であれば56㎏ぐらいがベスト体重ということになります。
ですので、不妊クリニック等で「痩せましょう」と言われた際は、BMI25以下になることを目標にダイエットすることになります。
太りすぎのリスクとは?
妊活・不妊治療、妊娠・出産において太りすぎのリスクってなんでしょうか?
過体重の人でも妊娠・出産しているのをみると、「妊娠・出産において太りすぎはよくない」といきなり言われても、??となるかもしれません。
妊娠中の肥満に関しては、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクが上がりますし、流産や早産のリスクもあがると言われています。
また妊活・不妊治療中であれば、排卵障害を起こしやすくなります。
月経が不規則な場合や、多嚢胞性卵巣症候群と言われている場合は、減量することで排卵がスムーズに起こる可能性もあります。
痩せすぎもNG
ただこういう話をすると、「痩せていればOK」と思う人もいますが、痩せすぎもNGです。
痩せすぎることによって月経不順になったり、排卵が止まってしまうこともあります。
また出産時に子供が低体重になったり、お腹の中で十分に発育しなかったり、切迫早産や早産のリスクも高くなります。
日本では、月経が止まるなどがない限り、あまり痩せすぎに関しては注意されることもありませんし、どちらかというとやせ志向の強い国ですが、無理なダイエットはお勧めしません。
なかなか体重が増えないという悩みを持っている方もいるとは思いますが、数回にわけて食べるなど、こまめに食事を摂取するなど欠食にならないように注意が必要です。
最初から大きな目標を立てない
妊活のためにダイエットを始めよう!そう思われる方もいらっしゃるかと思います。
その時に最初から大きな目標を立てるのはお勧めしません。
思うように体重が減量していかなければ、途中でイヤになってしまう可能性が高くなるからです。
そして、ダイエット経験者ならご存知のように、ダイエットには停滞期はつきもの。
この停滞期をどのように乗り越えるかもダイエット成功の大切なポイントです。
早く適正体重になりたいいう気持ちもわかりますが、焦りは禁物です。
まずBMI30以上であれば、BMI30を下回ることを目標としましょう。
その次はBMI27など、順番に刻んでいくことが大事です。
また糖質制限やファスティングなど極端なダイエット方法もお勧めしません。
確かに痩せることは可能ですが、栄養不足になったり、貧血になったりと他の不調の原因にもなりかねないからです。
ダイエットを繰り返しても痩せない時はもしかしたら病気の可能性も
ただどれだけ頑張ってダイエットをしても痩せない…
運動もしている
間食もやめた
和食を中心にカロリーも糖質も押さえて野菜を増やしている
甘い飲み物もやめた
でも体重が落ちない、何なら逆に疲れやすくなった…なんて言う場合は、もしかしたら他の疾患が隠れている可能性も否定できません。
何をしても体重が落ちない…というような場合は、一度メタボリック外来等があるクリニックを受診して相談してみるのも一つです。
一人で抱え込まずに、まずは病院で相談し、適切な栄養指導等を受けることがダイエットの近道になることもあります
ダイエットしながら並行して不妊治療にも寄り添ってくれるクリニックを探そう
「まずは痩せないと不妊治療は出来ません」最初に行ったクリニックでこのように突き放されてしまうと、ダイエットが成功するまでクリニックを受診してはいけないと思い込んで、無理なダイエットに励む人もいるかもしれませんが、ちょっと待ってください。
確かに、その後の妊娠・出産のことを考えるとダイエットしておくことに越したことはありません。20代や30代前半であれば、1年ほどダイエットに取り組みながら、自己流の妊活を続けるのもありでしょう。
ただ、30代後半、40代であれば正直そのような悠長な時間はありません。
ダイエットしながらでも、検査をし、治療をスタートさせる必要があります。
BMIの基準は様々ですが、「まずは痩せないと不妊治療はしません」とはっきりと言い切っているクリニックもありますが、ダイエットと並行しながら不妊治療に寄り添ってくれるクリニックもあります。
中には「ダイエット」させてから妊娠させるべきだ…という声もあるでしょう。
でも、残念ながら「卵子の老化」は待ってくれません。
そして、妊娠や不妊治療のために「適正体重」を維持することを誰も「健康教育」として教えてもきてなければ、学んでもきていないのが今の日本の現状なのです。
なのに「痩せろ」の一言で患者を突き放してしまうのは少々乱暴なのではないかと思うのです。
だったら、ダイエットしながら不妊治療を行ってくれるクリニックを探して不妊治療をスタートさせるのが堅実的だと思います。
もちろん…ある程度減量してから妊娠する方が母体にも赤ちゃんのためにも良いことには変わりありません。
ただ、年齢は待ってくれませんので、その点も加味しながら考えていく必要があります。
栄養面で指導・サポートしてくれる不妊クリニックに転院するのもあり
不妊クリニックによっては、管理栄養士などがダイエットのサポートをしてくれる不妊クリニックもあります。
時間も限られている中で、一人でダイエットをするのはなかなか大変です。
そして、ネット等でダイエットと検索すると怪しげな情報もたくさん出てきます。
この中から、自分にあった正しいダイエット方法を見つけ出すのも一苦労です。
もちろん、減量等の専用外来を受診しながら、不妊治療を行うというのも一つですが、なかなか同時に二つのクリニックに通院するのは大変です。
でしたら、栄養面でダイエットの指導・サポートしてくれる不妊クリニックに転院するのも一つだと思います。
「痩せないと不妊治療は出来ません」と言われたら、どうしたらいいのか立ち止まってしまうこともあるかもしれません。
そもそもこの発言をするのであれば、自院内でダイエットをサポートできる環境を整えるか、どこか専門外来に紹介するべきだとは思うのですが…
残念ながら、言ったら言ったままというところも少なくないようです。
そんな時は、ダイエットしながら不妊治療が出来る方法を模索してみてください。
また、ダイエット、ダイエットと書くとモデル体型を想像される方も出てきますが、ベスト体重はBMI22 160㎝で56㎏が一つの目安です。
時折、50㎏台の人が40㎏台までダイエットしようとしているのを見かけますが、そこまでのダイエットは必要ありませんのでご注意ください
参考資料 厚生労働省資料 https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3a3-02f.pdf
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