【不妊治療情報①】 なぜ不妊治療に早くアクセスすることが大切なのか?
実は不妊治療を最後の砦と考えている人は少なくありません。
その為、妊活をはじめてから不妊治療にたどり着くまでに2年、3年要したというお話を伺う事も決して珍しいことではありません。
さらに体外受精へのステップアップに2年弱・・・
気付けば30代半ばから後半というかたも
そこで突きつけられる「高齢」という言葉
そして当事者への「自己責任」という言葉
でも本当に当事者だけの意識の問題なのでしょうか?
そもそも今まで適切な情報を伝えてこなかった事を棚にあげて「高齢」「自己責任」という言葉だけで片づけるのはどうかと思ってしまいます。
また、結婚してすぐの方、これから妊活をはじめようとする方、そんな方からご相談を伺う時によく聞かれるのが、まだ不妊治療をスタートするのは早すぎますよね・・・という言葉、中には近所の婦人科にいったら「早すぎるよ」と言われてしまったというお声も頂きます。また、周りからそんなに焦らなくて・・・と言われたなんていうお話しも
周りが不妊治療にアクセスしようとすることを止めていると感じる事も少なくありません。でも、だからこそ声を大にして言いたい。
「子供が欲しいと思ったら出来るだけ早いタイミングで不妊専門クリニックにアクセスしてほしい」と・・
不妊クリニックを受診するまでの目安の期間は?
個別相談でも多いご質問の一つが不妊クリニックを受診する目安です。
一般的に避妊をしなくなってから1年経っても妊娠しない場合は不妊検査を受けましょうと言われています。
ただし、これはあくまでも一般論の話です。
35歳を過ぎていれば半年を一つの目安にした方が良いですし、40歳前後であればすぐに検査だけでも受けた方が良いかと思います。
個人的には35歳前であっても不安に思うのであれば1年待たずに検査を受けたり、不妊クリニックを受診したりしても問題ないのです。
そこで「早すぎるよ・・・」なんていうクリニックがあれば別のクリニックを選ぶ事をお勧めします。
そしてこれらは生理にトラブルがなく婦人科疾患などの経験がなく、夫婦で問題なく性行為が行えている人の場合です。
例えば子宮内膜症と診断されたことがある方や、月経不順の方、何か婦人科系の手術を受けたことのある方などは子供が欲しいと思った時点で早めに不妊クリニックに相談することをお勧めしています。
また性行為をすることに問題がある方も早めに専門の医師に相談した方が良いかと・・・
男性側に問題がある(EDや膣内射精障害など)場合は男性不妊専門の医師や泌尿器の医師などこの分野に詳しい医師に相談した方が良い事が多いです。
(専門の医師が少ないという問題点はありますが・・・)
特に30歳半ば、後半、40台と年齢を重ねれば重ねるほど悩んでいる時間がもったいなくなりますので早めの行動が大切になってきます。
20代だからまだまだ大丈夫ということはない
特に不妊治療や検査へのアクセスに戸惑いがちなのが20代の方々。
周りにそんなに焦らなくてもと言われたり、クリニックにいったにも関わらずまだまだ若いんだからと言われたり、またそんな話を耳にすることから妊活から不妊治療へステップアップすることにためらう人も少なくありません。
ただ特に何も問題がない夫婦の場合は1年で8割の人が妊娠すると言われています。
20代であればどちらかというと妊娠しやすい年齢
その年齢で1年経っても妊娠しないという事は何か妊娠出来ない原因があるかも?と疑った方が良いのです。
また、タイミングを合わせる回数が少なく、狙っているタイミングがずれているから妊娠にたどり着かないという人もいます。
そういう知識的な事を教えてくれるのも私は不妊クリニックの役割だと思っています。
実際にこういう場合は、クリニック受診後すぐに妊娠される事もあります。
・検査で自然妊娠が難しい原因が見つかる事もある
中々妊娠しないからと・・・不妊クリニックで検査を受けたら自然妊娠が難しい原因や治療が必要な原因が見つかる事も少なくありません。
例えば卵管が詰まっていた場合や精子がいない、若しくは極端に少ない場合や奇形精子が多かったり、運動率が極端に低かったりする場合は自然妊娠は難しく体外受精へのステップアップが必要になります。
また、卵巣や排卵にトラブルがある場合も排卵誘発などが必要になったり、場合によっては早めのステップアップを勧められたりすることもあります。
これらは検査をしてみないとわからないことばかりです。
何年も自分たちで頑張って妊活を続けた後にこれらがわかった場合のショックは測りきれません。
妊活や不妊治療って長引けば、長引くほど徒労感は半端ありません。
だから疲れてしまう前に次に進んでほしいのです。
・体外受精をして初めてわかる事もある
では検査で問題なければ自然妊娠が可能なのでしょうか?実は検査でわかることは極々一部なのです。体外受精をして初めてわかることもあります。
例えば精子と卵子の受精や受精卵の分割
これらは体外受精をやってみないとわかりません。
体外受精をしてみて初めて、受精しないとか分割がとまるという事がわかる事があります。
それ以外にもよく耳にする「ピックアップ障害」という言葉
卵管さいが上手く卵子をキャッチ出来ていないと妊娠にはたどり着けません。これは明らかな癒着があり、それらを検査で確認している場合を除いては検査ではほとんどわかりません。ただ体外受精の場合は卵管さいが卵子をキャッチする必要がないのでこれらの問題は自然とクリアされていきます。
ですので、受精や着床に問題がなく体外受精1回目などで妊娠出来た場合に「ピックアップ障害だったのかな?」というコメントをよく聞きます。
自然、体質改善という言葉に必要以上に惑わされないで
まだ若いのだから「体質改善」や「生活習慣の見直し」をすれば自然妊娠出来るよ・・・
こんな言葉を言われた事のある方や、耳にしたことのある方も少なくないと思います。
確かに生理が止まりそうなぐらいの低体重や過度な肥満は妊娠には良い影響を与えませんし、生理が止まってしまうようなストレスもよくありません。
特に男性の場合は生活習慣病(中性脂肪やコレステロール、血圧、血糖値)関連の検査項目にも注意したいところです。もちろん女性も高い方は不妊云々関係なく改善したいところですが・・・
しかし、体質改善をしたからといって、生活習慣を見直したからといって必ずしも妊娠にたどり着くとは限りません。
ましてや体質改善は正直定義があいまいです。
だからこそそれらに何年も時間を費やすのはかなりもったいない。
ちまたには〇〇メソッド系のハウツー本がたくさん流通しています。
健康を害することがない、莫大な費用がかからないのであれば取り入れてみること自体はダメだと思いません。
でもそれらは不妊検査や不妊治療を並行して行ってほしいと思います。
独自のメソッドを推奨する人の中には「不妊治療否定」をする人も少なくありませんが、最後まで責任を取ってくれるわけではありません。そしてそれらだけに費やした時間は戻ってこないのです。
遠回りすることで妊娠が難しくなることもある
不妊検査や不妊治療に早くにアクセスすることは結果的に妊娠への近道になる事が多々あります。逆に言うとなんとか自分でなんとかしようと頑張る事が遠回りになってしまっていることも・・・
不妊検査や不妊治療を最後の砦と考えずに、「あれ?妊娠しにくいのかな?不妊かな?」と思えば周りの声に惑わされずにまずは不妊クリニックを受診することをお勧めします。
また、「まだ早すぎるよ・・・」とクリニックで言われた場合は若くても不妊の原因はあると理解してくれる医師がいるクリニックに転院することも一つの選択肢だと思います。
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