「AMH」正しく理解している? 知っておきたいAMH検査を受けるタイミングや検査結果の捉え方

卵子凍結とともに、よく耳にするようになったAMH検査。プレコンセプションケアの一環として推進している自治体や企業も出てきました。

自分の卵子の残数は、誰でも気になるもの。企業や自治体が助成してくれるなら受けてみようかな…という人も少なくないでしょう。ただし、このAMH検査は、何気なく受けるのはおすすめできません。検査の目的をしっかりと理解したうえで受ける必要があります。また、企業や行政も、その意義を正しく理解したうえで推奨していくことが求められます。

この記事では、以下の点について解説していきます。

・AMH検査とは
・AMH検査の結果について
・AMH検査を受けるタイミング
・AMH検査を受ける際の注意点

 

AMH検査とは

AMHとは、抗ミュラー管ホルモン(Anti-Müllerian Hormone)の略で、「一次卵胞」「二次卵胞」「前胞状卵胞」から分泌されるホルモンです。ちなみに、原始卵胞からはAMHは分泌されません。AMH検査は、卵巣に残っている卵子の数(卵巣予備能)を予測するために用いられますが、「原始卵胞」の数は反映されていない点に注意が必要です。

ただし、妊孕性(にんようせい)により大きく影響を与えるのは「卵子の残数」ではなく「卵子の質」です。AMH検査では卵子の質を測定することはできません。卵子の質は、基本的には年齢に依存します。(近年では、妊孕性を評価する際に低AMH値は考慮した方が良いのではという報告も出てきていますが……)

 

AMH検査結果(数値)の捉え方

AMHの検査値には、他の検査項目のような明確な基準値は存在しません。年齢ごとの平均値や中央値と比較することが一般的ですが、AMHの値には個人差が非常に大きく、平均や中央値から外れる結果が出ることも、決して珍しくありません。さらに、AMH検査には測定誤差(約15%)がある点も理解しておく必要があります。

また、AMHの値が年齢の平均値や中央値より低いからといって、慌てて卵子凍結や体外受精に進む必要はありません。ただし、AMHが1.5以下、特に1.0を下回る場合は、医師と相談しながら今後の治療計画や卵子凍結について検討したほうが良いケースもあります。平均値との比較ではなく、数値そのものをどう捉えるかが重要です。

ただし、妊娠において大きな影響を及ぼすのは「卵子の質」です。たとえば、40代でAMH値が20代や30代前半と同等(3.0〜4.0以上)であっても、それだけで安心することはできません。40代で妊娠を望む場合は、AMHの値にかかわらず、早めに体外受精などのステップアップを検討することがすすめられます。

とはいえ、AMH値が一定以上あれば、体外受精時により多くの卵子を採卵できる可能性があり、結果的に妊娠の可能性が高まるという側面もあります。

なお、子宮内膜症や卵巣の疾患がある場合など、年齢以外の要因でもAMH値の解釈は異なってくるため、不安がある方は医師に相談しましょう。

 

AMH検査を受けるタイミング

AMH検査を受けようと考えるタイミングは人それぞれですが、医師の指示によらず自発的に受けることが多いのは以下のようなケースです。

・企業や自治体で助成金が出る場合
・卵子凍結を考えたタイミング
・妊活を始めようと考えたタイミング、あるいはプレコンセプション検査(ブライダルチェック)の一環として

 

一方、医師の判断で検査が実施されるのは以下のような場面です。

・不妊治療のスクリーニング検査として
・体外受精を行う前の検査として

この場合、検査結果は医師が治療方針の判断材料として活用します。

もともとAMH検査は、体外受精において採卵できる卵子の数を予測するために用いられてきました。

たとえば、AMHが極端に高い場合、排卵誘発の刺激が強すぎるとOHSS(卵巣過剰刺激症候群)を起こしやすいため、事前にAMH値を知っておくことで排卵誘発剤の量を調整することができます。

逆に、AMHが極端に低い場合にも、どの排卵誘発方法が適しているかを判断するための参考になります。体外受精におけるAMH検査は、基本的には医師による治療判断の一環として位置づけられています。

もちろん、AMH値が極端に低い場合には、治療の終結や卵子提供、特別養子縁組を検討するきっかけになることもあります。

こうした医師主導で行われていたAMH検査も、卵子凍結やプレコンセプションケアの普及により、市販の検査キットや近くの婦人科などでも気軽に受けられるようになってきました。

自分の体の状態を気軽に把握できるようになったのは良い点ですが、検査結果によって不必要に不安を感じるなどの課題も少なくありません。また、年齢平均値より低いという理由だけで卵子凍結を勧められて悩んでいるという相談も増えてきています。

 

AMH検査を受ける際の注意点

以上を踏まえ、AMH検査を受ける際には以下の点に注意することをおすすめします。

・検査結果の捉え方を正しく理解したうえで検査を受ける
・AMHの値は「一次卵胞・二次卵胞・前胞状卵胞」の数を示し、すべての卵子の数を反映しているわけではない
・AMHの値は卵巣予備能を示す指標であり、卵子の質は年齢に依存する
・できるだけ市販の検査キットではなく、結果の説明までサポートしてくれる医療機関で受ける
・卵子凍結や体外受精を急かされて不安を感じた場合は、セカンドオピニオンを検討する
・ピルを服用していると、AMH値が通常より低く出ることがある

また、最近ではAMH検査が卵子凍結への誘導材料になっているクリニックもあります。AMHが極端に低い(1.0未満)場合などには、医師と相談の上、卵子凍結や体外受精への早期ステップアップを検討すべき場合もありますが、20代で平均より低い程度の場合には、必ずしも慌てて卵子凍結を考える必要はありません。

 

まとめ

残念ながら、近年はAMH検査がフェムテックや卵子凍結、あるいは“エセ妊活ビジネス”の入り口になっているケースもあります。卵子凍結を行っている一部のクリニックにも、商業的な意図が強いところがあるのが現実です。

AMH検査が手軽に受けられるようになった一方で、説明不足によってかえって不安が増したり、ビジネスターゲットになってしまったりするケースがあることにも注意が必要です。

正しく理解し、正しく検査を活用していただきたいと思います。

また、企業や行政がAMH検査を導入する際には、ビジネス目的に偏っていないか、慎重に見極めることが求められます。

 

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