SDGsから考える不妊治療と仕事の両立支援 企業が存続し続けるためには、社内環境の「不」の改善から

「SDGs」や「持続可能社会」このような言葉を目にしない日はないぐらいに、当たり前に見聞きするようになりました。

ただこの「SDGs」や「持続可能社会」に向けて本気で取り組んでいる企業はどれぐらいあるのだろうか?と思うことがあります。
「とりあえず取り組んでおかなければ企業価値が下がるから…」そんな思いも見え隠れしています。

対外的なアピールだけに利用されているように感じる「SDGs」という言葉。
本当にそれでいいのでしょうか?

外側ばかりに目を向けていて、本当に「持続可能」な企業経営は可能なのか?
この記事では「不妊治療と仕事の両立支援」を例に、社内の「SDGs」の取り組みの必要性についてお伝えしていきます。

 

社内環境改善のためのSDGsとは

「SDGs」というと対外的なイメージが強く、社内で取り組むと言われてもピンとこない人もいるかもしれません。SDGsには17の項目があり、その中でも

目標3 すべての人に健康と福祉を
目標5:ジェンダー平等を実現しよう
目標8:働きがいも 経済成長も

この3つに関しては、まず社内から取り組む内容ではないかと思います。

フェムテックやヘルステック、健康経営ブームということもあって、ビジネスとしてこれらの分野でサービスを提供したい企業も多く見かけますが、社内できちんと取り組めているのか?まずはここからではないでしょうか?

 

出来ない理由探しをしていませんか?

不妊治療と仕事の両立支援制度について提案すると、必ずと言っていいほど帰ってくる声があります。それは、「支援は必要だと思うんです。でも…」という声です。

確かに「今取り組めない理由」を探せば、次から次へとその理由は出てくるでしょう。でも、出来ない理由に納得してしまい何もしなくて本当にいいのでしょうか?

確かに短期的に見ればメリットは少なく、余計にコストもかかるかもしれません。ただ10年後、20年後、「あの時に取り組んでおければよかった」と思ってももう遅いのです。

 

社内の「不」に目を向けても売り上げにはつながらない

よく「出来ない理由」の一つに挙げられるのが、「それをやって弊社になんのメリットがあるのですか?売り上げにつながるのですか?」という点です。

確かに不妊治療と仕事の両立支援をはじめ、社内の「不」の解決の多くは、目に見える売り上げにはつながりません。しかし本当に取り組むことに「メリット」はないのでしょうか?

・離職率の低下 従業員の定着率アップ
これだけでも大きなメリットなはずです。

採用も人材育成も無料ではありません。採用のための人件費が必要になりますし、10年、15年勤務していた人に退職された場合は、同じレベルまで育てるのに何年もかかるでしょう。

それに、どれだけ教育しても退職した人とまったく同じ能力は得られません。
新しく入社した人にはその人の強みがあるように、退職した人にもその人にしかない強みがあったはずです。

確かに人材を募集すれば次の人は来てくれるかもしれません。しかし本当の意味で退職した人の代わりにはならないのです。

 

従業員から不満の声はない

これもよく伺う声の一つです。「従業員から不満の声はあがってないから、うちには関係ない」と…本当に従業員は今の会社の制度や仕組みに満足しているのでしょうか?

もしかしたら「言っても無駄」とあきらめているのかもしれません。上に声が届いていないだけで、途中で「あるべき声」が消されてしまっているのかもしれません。

声に出せない不満が積もれば、人はやる気を失いますし、「言われたことだけやればいいか…」と積極的な意見や提案も出にくくなるでしょう。中にはもっと働きがいのある会社に転職を考えている人もいるかもしれません。

 

不妊治療だけを支援すれば不満の声があがる

確かに不妊治療だけ支援すれば社内から不満の声があがる可能性は少なくありません。実際に不妊治療だけ特別視されたくないと、制度の利用に戸惑う当事者もいます。

でも「だから支援制度はつくりません」は違うのではないかと思うのです。

不妊治療と仕事の両立支援制度が出来ることに不満の声が上がるという事は、他にも「不満」が積もっているという証拠なのではないでしょうか?
他の支援制度が充実してれば、そのような声はあがってこないはずです。

不妊治療の支援制度を設計するタイミングで、不妊治療に限らずにテレワークや休職制度がフレキシブルに使えるように設計を行っている企業も増えてきています。

 

自分を犠牲にして会社のSDGsに取り組みたいわけではない

若い世代のSDGsにおける認知度は高く、20代男性61.7% 20代女性41.3%と他の世代より10%も高くなっています。20代にとってSDGsはすでに当たり前の取り組みになりつつあります。

とはいえ、自分を犠牲にして企業のために対外的なSDGsに取り組みたいわけではありません。

実際に内閣府『平成30年度版 子供・若者白書(概要版) 特集 就労等に関する若者の意識』調査でも、仕事よりも家庭やプライベートを優先するという回答が63.7%でした。これは2011年の調査結果(52.9%)よりも10.8ポイントも上回っています。

会社の為にプライベートを犠牲にして身を粉にして働く時代ではもうないのです。

だからこそ、対外的な取り組みしかしていない企業には魅力を感じない人は増えてきています。見た目だけSDGsで取り繕っても意味がないのです。

この先の企業の存続を考えるのであれば、従業員が働き続けられる環境を考える整えることが必要です。

 

社内の「不」を洗い出すところからスタート

持続可能な企業にするための第1歩は、社内の意見や要望、不満を洗い出すところからです。もちろん出てきた意見、すべてに対して取り組めるわけではありません。
ただその中から必要な支援、実は不要だった制度や支援などが見えてきます。

また制度はあるのに、必要な人もいるのに、全く利用されていない…なんていうものも浮き彫りになってくるかもしれません。

この場合は制度そのものが不要なのではなく、多くの場合、使いにくい仕組みやもしくは使えない社内風土に原因があります。

対外的なSDGsの取り組みばかりに目を向けるのではなく、まずは従業員一人、一人の人生のために取り組む。そうすることで、それがまわりまわって企業の売上げや利益につながるのではないでしょうか。

今、社内に目を向けられるかどうかで10年後、20年後に大きく影響してくるのではないかと思います。

 

これから益々労働人口は減っていきます。そして、仕事だけではない自分のライフプランも大切に働きたい人は今後ますます増えていくでしょう。

不妊治療と仕事の両立や育児と仕事、介護と仕事だけではなく、何か病気の治療をしながらも働き続けたい(続けなければならない)人もいるでしょうし、働きながらさらに学びたいという人も出てくるでしょう。

自分のライフプランの中でキャリアプランが描ける、そんな社会を次の世代に残せればと思います。

 

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