5年後 10年後の未来を託せますか? 卵子凍結のためのクリニック選び6つのポイント

卵子凍結 クリニック選び

最近、話題にあがることが増えた卵子凍結。凍結した卵子を利用して妊娠・出産した著名人の話を耳にすることも増えました。

そのような話を耳にすると、自分も将来の為にと卵子凍結を考える人もいるかもしれません。

この記事では卵子凍結を考えるうえで絶対に切り離せない、クリニック選びについてお伝えします。

 

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失敗は出来ない! すぐに結果が出ないからこその難しさ

 

卵子凍結の難しさのひとつがすぐに結果が出ない事です。

通常の不妊治療(体外受精)であれば、採卵してから数か月以内には、受精しない、胚盤胞まで育たない、妊娠にたどり着かない等ある程度の結果が出てきます。

特に受精しない場合や、移植できる胚まで育たない場合などは、排卵誘発方法を変えたり、別のクリニックに転院して採卵からやり直したりという選択も可能になります。

ただし、卵子凍結の場合、採卵・凍結した卵子の結果がわかるのが5年後、10年後という人も少なくありません。

凍結した卵子で上手くいかなくてもまだ新たに採卵しても妊娠が望める年齢であれば良いですが、40歳を過ぎているとそうはいきません。

新たに採卵し直すことが難しくなっている場合もありますし、採卵は出来ても、妊娠率は30代の卵子と比べると高くありません。

だからこそ、卵子凍結を行うクリニック選びは非常に重要になってきます。この判断が、5年後、10年後に大きく影響を及ぼしてきます。

 

不妊治療クリニックに行けばどこでも卵子凍結出来るわけではない

 

不妊治療(体外受精)が可能なクリニックが全国各地に600件以上存在します。

しかし、その中で社会的(計画的)卵子凍結を行っているクリニックは、82件しかありません。(クリニックのホームページ等で実施を明言しているクリニックの数)

またこれらの多くのクリニックは、東京近郊、愛知、大阪、福岡と都市部に集中している傾向があります。

地方によっては他県に行かないと社会的(計画的)卵子凍結が出来ない地域もあります。

また少ない選択肢から選ぶ必要があるため、納得した選択が出来ない場合もあります。

ただ、卵子凍結にかかる費用は決して安くありませんし、5年後、10年後の未来を託すクリニックです。妥協してクリニックを選ぶのではなく、納得したうえでクリニックを選ぶようにいましょう。

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卵子凍結クリニックを選ぶ 6つのポイント

では、実際にどのような点に注意してクリニックを選べば良いのか解説していきます。

 

① 生殖医療専門医在籍のクリニックを選ぶ

まずは厚生労働省が指定している医療機関から選ぶことが大前提です。現時点では、この指定医療機関以外で卵子凍結を行っているクリニックは1件しかありませんが、今後、指定医療機関ではないクリニックが卵子凍結サービスを提供してくるかもしれません。

卵子凍結は体外受精の技術の一部です。まずは指定医療機関を選ぶようにしましょう。

そして指定医療機関の中でも、出来れば生殖医療専門医が在籍しているクリニックを選んだ方がいいでしょう。

 

② ある程度の治療実績のあるクリニックを選ぶ

社会的卵子凍結が一般的になってきたのはここ数年です。そのため、社会的卵子凍結を行った人の多くは、現時点では保管しているという状況がほとんどであり、保管した卵子で妊娠・出産に至った人はまだまだごく一部です。

社会的卵子凍結の実績でクリニックを比較・検討することは現時点では難しいでしょう。

そのため一つの指標として、不妊治療そのものの実績を確認しましょう。

卵子凍結は先述したように体外受精の技術を利用して行います。また未受精卵の状態で保管するため、使用時には通常の体外受精ではなく顕微授精の技術が必要になります。

そのため、一定の実績があるクリニックを選んだ方がいいでしょう。

ただ妊娠率は、母集団によって大きく変わってくるため、あまり比較検討に利用する数値としてはお勧めできません。

採卵数や移植数を一つの参考にしてみてください。

ただ1000件以上をひとつの括りにしてしまうと、候補が都市部である程度大きなクリニックのみになってしまいますので、その点は周りのクリニックと比較しながら判断していく必要があります。

また新しくできたクリニックはどうしても実施件数が少ないため、院長のそれまでの経歴もひとつの参考にするのも良いかもしれません。

クリニックの治療実績は各都道府県のホームページで確認することが出来ます。

 

③ 卵巣刺激(排卵誘発)の選択肢が多いクリニックを選ぶ

卵子凍結を行う際は、1個や2個凍結しておけばよいわけではありません。

ある程度の妊娠率(8割から9割の妊娠率)を得るためには、35歳までで15個~20個の卵子が必要になると言われています。

37歳では30個~40個程度必要だとも言われています。

そのため、1回の採卵で出来るだけ多くの卵子を得る必要があります。一度に多くの卵子を得るために必要になってくるのが排卵誘発剤を用いた卵巣刺激です。

この卵巣刺激の方法は1個~2個しか採卵できない自然周期採卵から3個から5個程度の低刺激採卵、10個前後の中刺激採卵、15個以上の採卵も可能な高刺激採卵と様々な方法があります。

これらの刺激方法の選択は、患者のホルモンの値などをみながら判断しますが、クリニックによっては刺激方法が限られているところもあります。

どの卵巣刺激が自分に合うかどうかはやってみないとわからないため、ある程度選択肢の多いクリニックを選ぶことをお勧めします。

 

④ 治療選択肢の多いクリニックを選ぶ

凍結した卵子を利用するのは、数年先の為、なかなかその時のことまで考えてクリニックを選ぶことは難しいかもしれません。ただ出来る限り、検査や治療、技術の選択肢が多いクリニックを選ぶようにしましょう。

凍結した卵子を利用して必ずしもスムーズに妊娠に至るとは限りません。パートナーの精子になんらかの異常があるかもしれませんし、上手く着床してくれないことも考えられます。また、上手く受精卵が育たたずに移植にすらたどり着けない場合もあります。

その場合、上手くいかない原因を見つけ、対処していくことが必要になります。

原因を探らずに漠然と、卵子の融解→授精→移植を繰り返していては意味がありません。

そのためにも、様々な培養技術を取り入れ、着床不全や男性不妊にも対応しているクリニックを選んで卵子凍結をしておいた方がいいでしょう。

 

⑤ メリット・デメリットをきちんと説明してくれるクリニックを選ぶ

卵子凍結は決して魔法の技術ではありません。卵子凍結をしたからと言って妊娠が絶対に保証されているわけではありません。

あくまでも将来妊娠できるかもしれないという可能性を得たにすぎません。

最近はキャッチーな言葉で、卵子凍結を促すような広告も見かけますが、卵子凍結をするのであれば、メリットだけではなくデメリットや将来妊娠に至る確率をきちんと説明してくれるクリニックを選ぶようにしましょう。

卵子凍結は個々の年齢や背景によっても判断基準が違ってきます。希望すれば、医療スタッフやコーディネーターにしっかりと相談できるシステムがあるクリニックの方がいいでしょう。

また説明会参加後等に卵子凍結をするかどうかすぐに決めなければならないようなクリニックはあまりお勧めできません。

年齢やホルモンの値によってはあまり決定までに時間をかけてられない場合もあるかもしれませんが、即決するのではなく時間を置いて決定するようにしましょう

 

⑥ 保管条件、使用時のルールなども事前に必ず確認しておこう

クリニックよっては凍結した卵子の保管を外部機関に任せている場合もあります。

ただ日本産婦人科学会では、凍結卵子の保管において、医療者の手を離れ、保管会社と本人の間での契約になることに対しては、慎重な姿勢を見せている点に注意が必要です。

保管会社に限らず、凍結した卵子の管理については、天災時の対応、紛失や取り違え防止マニュアルがあるのかどうか、万が一倒産した場合の対応などは事前に確認しておくようにしましょう。

特に地震や津波、洪水などの災害の多い地域、今後かなりの確率で地震が起こる可能性があると言われている地域は、その際の扱いについても事前に確認しておく必要があります。

また保管費用などもきちんと書類で取り交わしておいた方が安心でしょう。文章の取り交わしがないと、保管費用の値上げ等が相手の言いなりになってしまう可能性があるため、注意が必要です。

特に卵子凍結の場合は、数年前に戻ってやり直すことが出来ないため、立場的に弱くなってしまう可能性があります。

また、卵子凍結を行ったクリニックによっては、凍結卵子の移管をNGにしていたり、持ち出しに高額な費用が発生したりする場合もあります。

移植は別のクリニックや海外等を考えている場合は、あらかじめ凍結卵子の移管が可能か、費用はいくら必要なのかも確認しておきましょう

 

妥協してクリニックを選ばない

卵子凍結のクリニック選びについてまとめてみましたがいかがでしたでしょうか?

将来へ希望をつなぐ技術として最近大きな注目を集めていますが、場合によってはその希望が落胆につながる場合もあります。

クリニックの技術力が将来の妊娠を大きく左右する可能性も否めません。
単純に近さや価格でだけで決めるのではなく、技術力も含めて、きちんと比較検討して判断するようにしましょう。

個別相談では、卵子凍結に関する相談もお受けしています。

 

 

 

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