新型コロナウイルス感染症に関する声明が日本生殖医学会から発表

3月中に収束に向かえばと願っていた新型コロナウイルス感染症ですが、現時点で収束の目途は立たず感染者数は増加の一途を辿っています。
そんな中、日本生殖医学会から不妊治療に関する声明が4月01日付けで発表されました。

発表内容はこちらをご確認ください

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する日本生殖医学会からの声明

全文は通達内容をご確認頂きたいのですが、一部を抜粋させて頂くと・・・

妊婦において COVID-19 感染の重症化の可能性が指摘されていることや、感染時に使用される治療薬として妊婦に禁忌の薬剤による治療が試行されていることから、不妊治療による妊娠が成立したあとの COVID-19 感染への対応に苦慮することが予想されます。また受診や医療行為に関連した感染の新たな発生も危惧されます。このような背景から、国内での COVID-19 感染の急速な拡大の危険性がなくなるまで、あるいは妊娠時に使用できる COVID-19 予防薬や治療薬が開発されるまでを目安として、不妊治療の延期を選択肢として患者さんに提示していただくよう推奨いたします。また、既に調節卵巣刺激を開始し採卵を予定している患者さんについては、胚凍結の上で上記の状況を踏まえて胚移植時期を検討してください。胚移植を予定している患者さんについても同様の検討をおねがいいたします。人工授精、体外受精・胚移植、生殖外科手術などの治療に関しては、延期が可能なものについては延期を考慮してください

ここで注意したいのは中止を要請(強制)するものではなく、あくまでも推奨という事です。

この先は通院先のクリニック、個々の状況に判断をゆだねると言うものです。
この判断をゆだねるという対応に関しては既に当事者間から賛否両論が出ていますが・・・

確かに不妊治療は妊娠をして終わりではありません。その後無事に出産しなければなりません。
今の状況では妊娠をすることが怖いと思う人もいるでしょう。
妊娠後も満員電車で通院しなければならない人もいるでしょう。

そういう意味では不妊治療にしているしないに関わらず妊娠することそのものについて考えなければいけないのかもしれません。
不妊治療で妊娠した人だけに新型コロナウイルスのリスクがあるわけではないのですから・・・

こんな状況ですから不妊治療延期も一つの選択肢です。
しかし、今不妊治療をしている人の中には待ったなしの人がいるのもまた事実なのです。

 

不妊治療には待ったなし人もいる

残念ながら年齢は待ってくれません。
今が一番若いのです。それは卵子も一緒・・・
また早発閉経で今治療を行っている人はこの1日、1日が本当に貴重で大切なものでしょう。
いつ採卵できなくなるかもしれない・・・
そんな焦りと共に治療を続けている人も少なくないと思います。

そんな方たちに、今妊娠するのは新型コロナウイルスの影響があるかもしれないから・・・しばらくは治療を中断しましょう・・
なんてことは誰も簡単に言えません。
3か月後、半年後には採卵できないかもしれないのですから・・・

何より終わりの見えない新型コロナウイルス。
妊婦が安心して使える治療薬や新型コロナウイルス予防のワクチンはいつできるか今の段階ではわかっていません。
ワクチンに関しては1年後のオリンピックまでに出来るのは難しいだろうという意見も聞きます。

不妊治療は時間との勝負
半年後に様子をみて決めましょう・・・なんて事は言っていられないのです。

そして今の判断がその後の人生に大きな影響を及ぼす可能性もあるのです。
だから難しいのです。

 

個々の状況・通院環境に応じて判断するしかない

不妊治療の延期を推奨する声明が出されましたが、何歳以上はこうしましょう、早発閉経の人はこうしましょう・・・という明確な指針はありません。
また、新型コロナウイルスの感染が拡大している都市部と少数程度で押さえられている地方では対応はまた変わってくるかもしれません。
病院に公共機関で通わなければならない地域、基本車移動で済む地域でも変わってくるでしょうし、妊娠後も通勤しなければならない人、在宅ワークが可能な人、勤めていない為基本外出しなくても良い人でも対応が変わってくる事思います。

そして人気クリニックでは待合室もまた感染源になる可能性があることを忘れてはいけません。

結局は個々の状況・通院環境に応じて判断するしかないのだと思います。

何が正しい判断なのか?正直難しいところがあるでしょう。
でも、年齢的なリミット、早発閉経のリスクがある人は現在通っているクリニックで相談して採卵までしてしまうというのも一つの選択肢だと思います。

またこれから不妊治療を始めようと言う人は早発閉経のリスクを確認する検査だけはやっておくことも一つの方法だと思います。
もちろんこの検査結果だけで妊娠の可能性が測れるものではありませんが、今後の治療を考える一つの方針にはなると思います。

また男性不妊に関してはこのタイミングで検査をしておいてもよいのではないかと思います。
精索静脈瘤が見つかった場合などは手術などの治療に一定の時間を要しますから。
このタイミングでしっかりと検査をして必要に応じて治療をスタートさせておくのも一つだと思います。

もしかしたらこういう時期こそ親身になって患者の立場にたって考えてくれるクリニックかどうかがわかるのかもしれません。
リスクを考えずに不妊治療をただ続行するクリニックや、ただ患者の状況を考慮せずに一律に治療を中止するクリニックなどが見えて来るかもしれません。

こんな時期だからこそ納得できる治療や判断の説明が受けられるクリニックを選んで頂きたいと思います。

 

怪しい妊活情報には要注意

不妊治療の延期が推奨されるようになると気をつけなきゃいけないのが怪しい妊活商品です。

不妊治療の出来ない今の間にと・・・根拠のない商品の宣伝を見かけそうなのが想像できます。
例えば・・・このタイミングで〇〇でデトックスとか・・・
後は卵子の老化を止める〇〇や卵子の若返りを期待する〇〇なんてサプリもこの機会にと宣伝してくるかもしれません。

他にも不妊治療できない今だからこそ・・・みたいな煽り文句で妊娠を謳う商品が出てくる予感もします。

そしてこれらの商品は現在存在しているものを見ると驚くほどお値段が高い。
3ヶ月や半年コースみたいなのだと数十万するものも実際にあります。
よくわからない海外サプリメントで1ヶ月5万近くかかるものもあります。

何かに頼りたい、すがりたい気持ちはわかるがここは冷静な判断をしてほしいと思います。

 

こんな時だからこそ不妊患者に支援の手を

そして国はこんな時だからこそ不妊患者に支援の手を差し伸べてほしいと願わずにはいられません。
例えば採卵まではしても移植を延期する人もいるでしょう。
しかしその場合は卵子の保管費用が発生します。
そんな保管費用に支援の手が差し伸べられればと思います。

また、年齢的に今治療を始めないと助成金の年齢制限にひかかる人もいるでしょう。
期間限定の対応でも良いから助成金の年齢制限の撤廃をお願いしたい。

そしてある程度予想していた人もいるだろうが突然のこのような発表
とまどいと不安を隠せない人も多くいるでしょう。
どこかに相談したいと悩んでいる人もいるはず。
そんな不妊患者向けの相談窓口を行政が率先して開設してほしいと思います。

不安な人をそのまま社会に放り出さないでほしいと願うばかりです。

他にも個々が抱えている不安はもっとあるでしょう。
そんな悩みをくみ上げて少しでも支援の手が差し伸べされればと願います。

 

最後に・・・

確かに今は医療体制を崩壊させないことが早急の課題です。
医療資源も限られています。
どうしても命に関わる治療に医療資源を優先的にまわさなきゃいけない状況も理解できる。
そういう意味では不妊治療は「不要不急」に分類されても仕方ないのかもしれない。
でも当事者にとっては決して「不要不急」な治療ではない事も知ってほしい。

学会からの声明は一つの指針としては必要な物です。
でもこの指針だけでは解決できない問題が不妊治療にはたくさんあるのだという事を改めて感じました。
私は相談者さんにどのようなアドバイスが出来るのだろう、もし自分が同じ立場だったらどうしていたのだろう?
そんな事をグルグルと1日考えていましたが・・・やはり答えはみつかりませんでした。
というよりも何が正解で何が間違いなんていうのはないのだろう・・・と思います。

今できる事、今するべき事はひとりひとりによって違ってきます。

そして今私にできる事は、これからどうしていけば良いのか悩んでいる人と共に最善の策を考えて行く事なのだと思います。

 

妊活・不妊相談のご案内

対面でのご相談は滋賀・京都で行っております。
遠方の方はZoomでのご相談も可能です。
また、土日で、滋賀県東近江市まで来て頂ける方に限り夜間のご相談も受けていますので気軽にご相談ください。

詳しくはこちらをご確認ください
遠回りをしない 妊活・不妊治療の進め方 個別サポート

171121_白衣・2017-11-21_12-17-32

 

 

≪プロフィール≫

笛吹 和代

171121_隨帛聖縺輔s驥取搗縺輔s謦ョ蠖ア蛻・2017-11-21_12-39-49

関西を中心に活動し、臨床検査技師の国家資格を保有する、日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー

自身の不妊治療退職をきっかけに「働く女性の不妊治療退職ゼロ」を目指して、妊活や不妊の悩む女性の個別相談を行ったり、セミナー講師として活動したり、妊活や不妊をサービスとする専門家向けの講座を実施。

また、働く女性向けサイトで妊活コラムも担当

2017年5月 医療職とファイナンシャルプランナーによる妊活や不妊で悩む女性を支援するプロジェクトチームを立ち上げる。2018年9月には第1回目の妊活イベント「ワタコレ」を関西で開催し100名を超える方で当日はにぎわった。

現在は妊活や不妊治療支援サービスを行う企業と提携し顧客向けの妊活や不妊相談なども行っている。

≪経歴≫
1979年滋賀に産まれる
不妊治療の末2012年に男児を出産

子どもの頃から身体の仕組みに興味があり、医療系の学部に進学する。
卒業後は検査センターで様々な検査や健診に携わったのち、製薬メーカ・化粧品メーカで専門職として勤務する。28歳で結婚、29歳から妊活をスタートするものの妊娠にたどり着かず、32歳で前職を退職し、33歳で第1子を出産

その後健診現場に復帰するが、自身の経験から不妊で悩む女性の支援をしたいと事業をスタートさせる。現在は当事者支援と不妊予防を伝える事に力を入れている。

≪講座開催実績≫
2015年より自身で講座主催をする傍ら
大津市男女共同参画センター様、漢方薬局様、鍼灸師団体様 カルチャーセンター等で妊活や不妊、女性の身体に関する講座を開催

≪コラム掲載≫
奈良の子育て応援アプリ「ぱーぷるmama」にてコラム掲載
専門家によるパパママ応援サイトIKU♡LOVEにてコラム掲載
NAILIST JOBで女性向け コラム掲載
働く堅実女子のお悩みサイトsuits-womanで妊活コラムを担当

≪取材実績≫
日本成人病予防協会 妊活ページ取材

≪ラジオ出演≫
インターネットラジオ fmGIG 「マゴちゃんのツナガリっちょラジオ」出演
インターネットラジオ fmGIG 「コトリカの輝くママきっぷ 」出演

講師・取材・執筆依頼は下記からお問い合わせください
お問い合わせはこちらから