不妊カウンセラーまでの道のり【前編】 なぜクリニックに所属しない不妊カウンセラーとなったのか?

こちらの記事は以前に別のブログで記載していたものを、加筆修正してこちらの記事に掲載しなおしています。

臨床検査技師の資格を持ちながら、なぜ個人事業主を選択したの?
どこかクリニックへの就職は考えていないの?
これは医療関係の方から時折頂く質問です。

正直に言うと、絶対個人事業主じゃなきゃダメ!!とも思っていないし、過去には何度かクリニックの求人をチェックした事もありました。
それでもなぜ?私が個人で活動しているのか?
そんな事をまとめていきたいと思います。

 

不妊カウンセラーを目指したキッカケ

私が不妊カウンセラーを知ったのは、私自身が不妊治療をしている時でした。
私が不妊治療をしていたのは、妊活という言葉が広く使われはじめてようやく認知が広まり始めた頃です。
その為今ほど情報も多くなく、雑誌も1冊程度…一般書籍も数えるほどしかありませんでした。
専門書籍も京都の大きな書店にいってもさほど並んでなかった記憶があります。

もちろんネットにも今ほど情報はありませんでした。

そんな中ネットで情報を調べているうちにたどり着いたのが不妊カウンセリング学会のホームページでした。
その時にはじめて不妊カウンセラーの認定資格を知りました。

私の通っているクリニックはカウンセリングや相談と言うのはなく、正直どのような治療が進められていくかもあまりわからないまま治療が進んでいました。
今、カウンセリング学会のHPを見ると、一覧にクリニック名があったので資格を持っているの看護師の方はいらっしゃったようですが・・・

実は私は、卵管造影検査も行われず、漠然とタイミング法を1年弱続けていたのです。
卵管造影もこちらからお願いして検査をしてもらうという状態でした。
今、自分がどんな状況なのか?ほとんどわからず治療に不安と不満を抱いている状態でした。

わからないまま治療が進む病院で高額なお金は支払えないと、ステップアップする為に転院先を探していました。


色んなクリニックのHPに書かれている不妊治療情報を読み漁っている中で気づいたのが、一口に体外受精と言っても様々な方法があり、医師の方針で治療方法に大きな開きがあるということでした。

多くの方がご存知のように不妊治療には保険が適用されない自己負担による診療です。
それなのに医師の方針一つで治療方法が変わる。
これは自分で自分にあったクリニックを選ばないとダメなのではないか?そう思ったのが不妊治療について勉強をはじめた最初のきっかけでした。

こうなってくると一般書ではおいつかないので、医療専門書を多く扱っている本屋で専門書を読み漁りました。
数冊わかりやすそうな本を購入し体外受精について1から勉強したのです。

と、同時にそういう事の相談に乗ってくれる窓口を探してみましたが…
残念ながら私の調べた範囲では詳細まで記載されいるところはどこもヒットしませんでした。

どのように相談に乗ってくれるのか?誰が話を聞いてくれるのか?わからなければ例え公的機関であっても申し込めない…そんな気持ちでいっぱいでした。
正直、そもそもその相談に乗ってくれる人は不妊治療の知識があるのか?そんな疑問もありました。

不妊治療って孤独との戦いです。だれかれ気軽に相談できるものでもありません。だからこそ気軽に相談できる場が欲しい。

そう、私の場合はカウンセラーを目指したのではなく気軽に相談できる場をつくりたかったのが結果的に不妊カウンセラーの道を目指すきっかけとなったのです。

そういう場をつくろう!!って行政や企業で思ってもらえた時に、そこから人を探すのではなく自分がカウンセラーであればすぐにそういう場を提供することが出来る方が良いと思ったというのも理由の一つです。

 

病院に所属しないと言う選択

子育てと仕事の両立という壁

実は息子が1歳になる前に不妊治療を行っているクリニックに再就職という事を考えた時期がありました。

当時は起業というものに対してもお教室業というイメージしかなく、私の中では現実を帯びたものではまったくありませんでした。

その為、不妊と言う分野に関わりたいのであれば不妊クリニックに再就職するという選択肢しか思いつきませんでした。
臨床検査技師という国家資格を持っていますのでまず最初にしたのが検査技師での求人を探すことでした。

しかし、残念ながら滋賀県内では不妊クリニックでの検査技師の求人はありませんでした。

他府県での求人は見つけたのですが…
1歳の息子を抱えて他府県まで働きに出るのは現実的ではない…ということで他府県の求人は諦めます。

そしてその後県内での求人もみつけたのですが、通勤に1時間以上かかる事や、夜間診療がある為仕事終了から保育園お迎えに間に合わない事。
全面的に実家の両親のバックアップがないと無理だった事から、不妊クリニックで働くという選択肢は自然と私の中でなくなっていきました。
現実問題、越えなければいけないハードルが多すぎたのです。
産休・育休明けであればなんとか働き続ける方法を模索したのかもしれませんが、ゼロから出発は私にとってはハードルが高すぎました。

しかし一番の理由は別のところにありました。

 

気軽に相談できる環境を整えたかった

最初にも書きましたが、自分自身が不妊治療をしている時に、なぜもっと不妊治療について気軽に相談できる場がないんだろう?といつも感じていました。

最近では治療開始時期から説明会に参加出来たり、相談したりできる病院も増えてきましたが、私が不妊治療をしていた頃はまだまだそんなクリニックは少なく、体外受精にステップアップを決めてはじめて治療説明会があったり、カウンセリングが受けられるところがほとんどでした。

それに、不妊治療で悩む事は必ずしも病院で相談できることばかりではありません。

特に
・治療方針に疑問がある
・医師に質問しにくい
・転院を考えている
・他の治療方針を知りたい

などクリニックでは質問しにくい事もあります。
本来ではあればクリニックで確認するのが一番なのですが、医師の説明が理解できなかった時や納得出来なかった時(特にステップアップを勧められた時)、説明なく治療が進み不安な時、なども誰かに相談したい時があります。

また高圧的な態度や3分診療に患者が口をはさむ余裕なんてない・・・という声もよく聞きます。
もちろん、親身になって話を聞き、患者が理解しやすいように説明をしてくれる医師や医療者もいますが・・・すべてのクリニックでそのような環境が整っているわけでは残念ながらないのです。

忙しそうなクリニックで相談窓口がないと一人で悶々と抱えている…と言う人は案外いるものなのです。

このような本来なら専門家に相談するべき内容が、ネットや妊活コミュニティなどのオフ会などで当事者同士でアドバイスしあっている様子を自分自身が当事者だった頃から何度も見聞きしたものでした。

そしてそこには残念ながら無責任な情報もあふれかえっています。
その情報を信じ、貴重な時間を費やしてしまった結果・・・という事例を不妊カウンセラーになった後も見てきました。

だからこそクリニック以外の場でもっと気軽に相談できる場所をつくっていきたい…
そして、企業内にそういう場をつくりたい
そう思ったことがフリーの不妊カウンセラーになる一番のきっかけでした。

 

相談だけではなく、広く伝えていきたい

そしてもう一つの理由が「広く伝える事」がしたいという思いでした。

5.5組に1組が不妊に悩んでいる今、不妊は決して個々の問題だけで片づけられる事ではありません。
そして、個人の努力だけでなんとか出来る事でもなくなってきているのです。

不妊は「社会問題」として今後考えていく必要があると私は考えています。

少しずつ「社会問題」として捉えられ始めていますが、それでもまだまだ「個人」の問題して考えられているのが現状です。
そこを変えていきたい・・・それが私の思いでもありました。

そのために必要なのが「伝えていく」という事なのではないか?と

2012年に衝撃を産んだ「卵子の老化」という言葉
それまでは生理があればいくつでも出産できる…そんな風に思っている人が男女ともにたくさんいたのです。
そして今でもそう思っている人は少なくないのかもしれません。

「今は不妊治療より仕事に専念してくれ・・・」そんな風に会社で言われた事がある人もいるでしょう。
そしてそれは専門であるはずのクリニックで言われることもあります。
20代で不妊クリニックに足を運んでも「まだ若いのに(なんできたの?)・・・」という言葉をかけられることも。

過去には妊娠は順番に…なっていう記事も新聞に掲載されていた事もあります。

某雑誌では、妊娠はキャリアを形成した40代に入ってから…なんていう無責任な記事が掲載された事もあります。

性や妊娠・出産についてほとんど学ぶことがなかった我々大人世代はこれらの知識が非常に乏しい世代です。
それ故に不要な言葉を発してしまったり、不妊に悩んでいる当事者にかけてしまうことも少なくありません。

今、少しずつですが企業でも不妊治療休暇や不妊治療をサポートする制度が導入され始めています。
でも正しい情報や知識がない中で制度だけが産みだされても、それが正しく活用されるかは疑問が残ります。

だからこそまずは正しい知識や情報を大人たちに伝えていく事が必要です。

個々への相談だけではなく、伝えていく事をしたい…そんな思いもフリーのカウンセラーという選択をした理由の一つです。

後編は私の目指す「不妊支援」について書いていきたいと思います。

 

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