不妊カウンセラーへの道のり【後編】 私が目指す不妊支援の世界

こちらは以前別のブログで書いた記事を加筆・修正し、再掲載しています。

前編はこちら

不妊カウンセラーまでの道のり【前編】 なぜクリニックに所属しない不妊カウンセラーとなったのか?

私が病院に所属しない不妊カウンセラーを選択したのは、病院以外の場での不妊支援を広めたいというのが大きな理由の一つでした。
とはいえ、クリニックに所属していないというのは同時に怪しさも付きまとう事になります。
特にこの分野は不確かな情報や知識で仕事をしている人もいます。
だからこそ必要としてサポートを求めてくださる方に少しでも安心と信頼を与えられるようにと、日本不妊カウンセリング学会の認定不妊カウンセラーの資格を取得することにしました。

資格があれば仕事が出来るわけではありません。
でも、正しい知識と最新の情報を入手する事、そしてこの仕事をしている限り一生学び続ける事は必須だと考えています。
そして学会の認定資格はそれが出来る一つの場だと考えています。

2年間、6月と10月に開催される学会主催の養成講座に通い、その後に行われた試験で不妊カウンセラーに合格することが出来ました。
不妊カウンセラーという存在を知ってから7年が経過していました。
ようやく、不妊治療当事者だった頃の思いをかなえるスタートラインに立つことが出来たのです。

自分のように一人で悩む人を少しで減らしたい・・・
10年前のあの自分の姿が今の私の原動力なんだろうなと思うのです。

 

どこでも相談できる場を作りたい

私が不妊に悩んでいたのは今から10年前でした。

10年前と比べると格段と不妊に関する情報も増え、それと共に認知もあがりました。
また不妊治療を行っているクリニックも増え、私の住む滋賀でさえ倍ぐらいに増えたのではないでしょうか?
それと同時に、カウンセラーが在籍しているクリニックも増えましたし、不妊治療に関する勉強会を開催しているクリニックや多職種連携を図っているクリニックも増えました。

しかし、充実されていくのはクリニックの内部ばかり。
一歩、社会に出てしまえば…まだまだ支援は十分だとは言えません。
そしてこのクリニックの技術や知識の格差がその後の当事者の未来を大きく左右してしまうのです。

技術が高く、患者支援に充実したクリニックに出会えた人はラッキー・・・それが今の不妊治療を取り巻く環境なのです。
そこにたどり着くのに、個人の努力や運に左右されてしまうのが現状なのです。
そしてそれは誰も教えてくれなければ相談する場所もないのです。

 

なぜ?これほどまでに不妊に関して相談する事のハードルが高いのだろう…と。
これは私自身が当事者だった頃からずっと思い続けてきたことです。

そもそも医療に絶対という保証はないのだけど、でも不妊治療はさらに特殊な世界です。
ようやく不妊治療の在り方にもメスが入ろうとしていますが、現時点で不妊治療は、自由診療の為全額負担です。
病院によって治療方針は千差万別であり、成功しなくても「今回は残念でしたね」の一言で済まされることが決して少なくありません。(もちろん親身にこれからの相談に乗ってくださる先生もいらっしゃるとは思いますが・・・)
よくわからないまま、そもそも治療を続けるべきか?転院するべきか?もう辞めるタイミングか?そんな事も誰にも相談出来ないまま高額な治療が続けられるのが今の不妊治療の状況なのです。

決して不妊治療を否定しているわけではありません。
私はどちからというと、妊娠に悩んでいる人は早い段階で不妊クリニックにアクセスしてほしいと思っていますし、自己流妊活で何年も時間を費やすのは避けた方が良いと思っています。
(この話は別の機会でお話しできればと思います)

もちろん10年で変わった部分もたくさんあります。
しかし、誰にもどこにも相談できずSNSでつぶやき続け、当事者同士で情報交換をしたり、話を聞いて(この場合は読んで)もらったりしながら次の方法を模索している人も少なくありません。

ここで有益な情報や正しい知識にたどり着けば良いのですが・・・
必ずしもそうなるとは限りません。
怪しげな妊活商法がネット上やSNS上には溢れ返っています。
そしてそれらを信用し、貴重な時間を無駄に費やしてしまったという人もいるのです・・・

ここに正しい知識と情報をもった専門家が介入できれば…
もっと不妊治療で悩む人の状況が改善するのではないか?そう思ったことが実際に何度もあります。

いくつかの企業様からのご依頼で顧客向けの電話相談を行っています。
実は多くのご相談内容がサプリメントや体質改善などの話しではなく、ステップアップのタイミングや転院ついてのご相談なのです。
クリニックでは中々聞けなくて…とご相談くださる方も少なくありません。

だからこそ私は・・・・

行政(市町村レベル)や企業内で気軽に相談できる環境をつくっていきたい、社会で不妊で悩む人を支援できる場をつくりたいと考えています。

 

妊娠・健康・不妊について学べる場をつくる

多くの方の場合、当事者になるまでは、不妊に関しては他人事であることがほとんどです。
10代、20代は無理も効く事からついつい自分の健康管理については後回しになりがちな方も少なくありません。
女性なら、月経不順も生理痛もごまかしながら過ごしている人も少なくないのではないでしょうか?

「予防」には意識がいかず、いざ病気や不妊になってから慌てる…それが一般的な状況なのかもしれません。
なぜ、当事者になってから慌てるのか??
それは「知らない」ということが大きく影響しているのではないか?と思うのです。

知っていれば少しは意識することも、気を付ける事も出来るのですが…知らなければそのような手を打つ事すら考えることは出来ません。

だからこそ「学べる場」をつくることは必要になってきます。

そしてこのように「学べる場」がないから、ネットやSNSの様々な情報に惑わされる人が増えるのではないかと思います。
ネットリテラシーの向上を唱えるのであれば、正しい知識や情報を学べる環境づくりも同時に必要になってきます。

特に、妊活・不妊の分野では様々な情報が散乱しているからこそ、そういう場が必要になってくるのではないかと思います。

個々に十分な知識がなかった結果、高齢で不妊治療に挑んでいる人もいるかもいるかもしれません。
しかし、それは個人の責任ではなくそれらを学ぶ機会がなかった社会の責任なのだと思います。

 

不妊に理解ある社会を目指して

妊娠や不妊に関しては、まだまだ偏見を持った言葉や理解のない一言に傷つくカップルは決して少なくありません。
私自身も「人手不足の今、退職までして不妊治療をする必要なんてないのでは?そのうち妊娠するよ…」と社内ではそれなりに立場のある人から無責任な言葉をかけられた一人です。

腹が立った、悲しかった…というよりはこれが社会の認識なんだなと感じた事を覚えています。

そしてまた、この感覚が不妊治療と仕事の両立を阻んでいる大きな要因だとも感じます。

諸般の事情ですべての会社が同じように不妊に悩む女性を支援することは難しいでしょう。
でも、やはり女性活躍を掲げるのであれば出産・育児の支援だけではなく、不妊や妊娠に関する支援も今後はもっと必要になってくるのではないかと思います。

子供を持つ、持たないは個々の考えであり、個々の選択です。
この事に、周りが口を出しにくい事もわかります。
でも、これだけ働く女性が増えた今、キャリアプランとライフプランを一緒に考える必要があります。

だからこそ、企業や社会は相談されたらいつでも対応できる環境を整えておくことが必要であり、その為の知識を習得しておく必要があるのではないかと思います。

今年に入ってから不妊治療を取り巻く社会がようやく変わりだそうとしています。
仕組みが出来てくると共に、それらが形だけのものにならないように、都市部など一部の地域だけで恩恵を受けるような形にならないように、この中で私に出来る事は何かを見極めながらこれからも必要な情報や場を提供していけたらと思います。

 

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