コロナ禍での妊活・不妊治療の進め方

タイミング法 基礎体温

5月19日にこのような記事をUPしました。

【新型コロナウイルス関連】 不妊治療再開の声明とこれからの不妊治療の進め方について思う事

あれから2カ月余り・・・
正直、こんなに早く陽性者数がまた増大していくとは思っていませんでした。
上記の記事では第2波は1か月後なのか、半年後なのか、と書いていますが、各都道府県の陽性者数が100を超えるのは、秋以降なのではないか?秋以降であってほしいなと心の中で願っていました。

「withコロナ」はあくまでも都市部で10、20の陽性者数をコントロールしながら、しばらくは過ごすものだと思っていました。
だからこそ、新型コロナウイルスが落ち着いている間に出来るだけ早く、計画的に妊活・不妊治療を進めていった方がいいのではないかと上記の中で書いたのです。

しかし、そんな事を言ってられないほどの陽性者数が日々更新されています。
確かに、陽性であってもすべての人が発症しているわけではありません。
4月、5月のように重症患者も死者もさほど多くないと聞きます。
そこまで逼迫した状況ではないと・・・
そもそも検査実施数が増えたのも陽性者が増えた一つの要因だという話も・・・

仮に検査陽性となっても、他人にうつさないように隔離されて一定期間を過ごせばそこまで心配する必要はない・・・という意見も耳にします。
確かに若い人や基礎疾患が無い人はそれでもいいでしょう。
周りの人に感染を広げないように行動する・・それでいいのかもしれません。

しかし不妊治療患者は違います。
例え発症しなくとも治療中に感染することは出来る限り防がなければならないのです。

 

コロナ禍で不妊治療を続けるリスク

これはこちらの記事でも書いたことですが・・・

【新型コロナウイルス関連】 不妊治療再開の声明とこれからの不妊治療の進め方について思う事

自身が感染した場合、それが採卵の為に通院中であっても治療が中断となってしまう可能性が非常に高くなります。
そこまでにかかった費用や時間は無駄になってしまいます。
そして、自身が濃厚接触者になった場合も治療が中断になるリスクは非常に高いのです。

自身の感染予防は完璧とはいえなくともそれなりに気を付けることは可能です。
外食を出来るだけ控える、マスクをしていない人が大声で騒いでいる場所への出入りは極力避ける、今までのクラスター例を見ながら感染リスクの高い場所への出入りはしない・・・など、少し生活としては窮屈になりますが、感染しやす場所への出入りを避ける事でもかなり感染リスクを下げる事は出来そうです。

しかし、周りの人にそれらを強要するわけにはいきません・・・
4月、5月は緊急事態宣言が出ていた事もあって、多くの人が慎重に生活をしていました。
それゆえに、自身が濃厚接触者になる可能性もそこまで高くはなかったのではないかと思います。
しかし、残念ながら今は違います。
気にかけて、気にかけて生活をしている人もいる反面、さほど気にせずに生活をしている人もいます。
マスク不要論やそもそもコロナウイルスは存在しないなど・・・よくわからない陰謀論を掲げている人までいる状態です。

どれだけ注意して、対策をしていてもどこで濃厚接触者となるか、どこでも感染してしまうかわからないのが現状なのです。

このコロナ禍で不妊治療を続けることのリスクは、いつ自身が陽性者や濃厚接触者となって治療が中断してしまうかもしれないところにあります。
そしてクリニック内の医師やスタッフが陽性者となり、診療自体がストップしてしまうリスクもあるのです。

 

落ち着くまで不妊治療は延期しようという状況ではなくなってきた

しかし、4月の時のように新型コロナウイルスが落ち着くまで治療は延期しようという状況ではなくなってきました。
この新型コロナウイルス、終わりがまったく見えないのです。
4月の時は、1ヶ月、2ヶ月、自粛すれば一旦は状況が落ち着くだろうと思われていました。
実際に、5月半ばには検査陽性者数はグッと減り、地域によっては1ヶ月近く陽性者を出していない地域もあったぐらいです。

その頃から、都市部の不妊クリニックも通常診療に戻りつつありました。

しかし、陽性者数が低位で推移することは長くは続かなかったのです。
そして、陽性者数が増え続ける今の状況がいつまで続くのか終わりが見えない状況に突入してしまいました。

1ヶ月、2ヶ月であれば治療延期も一つの選択肢です。
しかし、これが半年単位・1年単位となると「ちょっと待って」となるのです。
半年、1年延期することで妊娠のチャンスを失ってしまう人も少なからず出てきます。
そしてそれは誰にでも起こる可能性があるのです。

もちろん、年齢的に若ければ1年延期しても可能性十分にあるでしょう。(早発閉経 低AMHなどは別ですが・・・)
でも、2人目・3人目と考えての不妊治療であれば・・・2人目、3人目を諦めざる負えない場合も出て来るかもしれません。

そして何より1年後にこの状況が改善しているとは今の時点では言えないのです。
もしかしたらもっと酷くなっているかもしれません。

もちろん、ご夫婦で子供のいない選択もありだ・・・と判断されたのであれば良いのですが・・・
治療を再開した時に、きっと授かれるだろう・・・という思いで中断するのはちょっと待ってほしいのです。
特に30代後半に入っている場合は、希望的観測はリスクでしかありません。

治療を中断するのであれば、授かれないリスクも十分考えたうえで判断する必要があります。
子供が欲しいと言う強い思いがあるのであれば、夫婦で感染予防をしながら治療を続ける必要が出てきます。

ただ正直なんで、当事者がそこまで悩み、苦しまなければならないのだろうとやりきれない思いもあります。

 

妊娠しやすい身体づくりや体質改善と治療延期は別問題

さて、不妊治療の延期の話題が出てくると、必ずと言っても良いぐらい出てくるのが、この時期を「妊娠しやすい身体づくり」や「体質改善」に使いましょうという内容です。

確かに、体重オーバーや無理なダイエットが影響して排卵障害のある人は、適切な体重に戻すように食事や運動など生活習慣を見直す事は必要です。
それ以外にも、健康診断で生活習慣病項目(血圧、血糖値、中性脂肪)が基準値から外れている場合はそちらのコントロールも必要になってくるでしょう。

偏った食生活を続けている人や、睡眠不足・過度なストレスを抱えている場合も何か改善方法を考えた方がいいかもしれません。

これらはコロナ禍関係なく、不妊治療をしながらでも見直してほしいポイントです。

しかし、巷にはよくわからない「妊娠しやすい身体づくり」や「体質改善」を謳ったものが溢れかえっています。
酷いものだと、「卵子改善」を謳ったものや根拠が確かではない高額な「デトックス」を謳う施術や治療なんかも見かける事があります。

そもそもこれらは根拠が非常に乏しいものですし、不妊の原因は「体質改善」や「妊娠しやすい身体づくり」なんていうものでは解決しないものもたくさんあるのです。
医療の力があるからこそ、不妊の原因が追究でき、授かる事が出来る場合もあるのです。

それを「新型コロナウイルスが蔓延しているから・・・しばらくは身体づくりに専念しよう」となってしまったら、夫婦によっては治療をしていれば授かれたはずの子が授かれなかったという結果にもなってしまうのです。

高額で怪しげな施術や治療は別ですが・・・一般的な生活習慣や食事の見直しであれば不妊治療や検査と並行して行う事をお勧めします。
間違っても新型コロナウイルスが収束するまでは、治療や検査を後回しに体質改善を頑張ろうとはならないでください。

 

妊婦だけではなく治療通院中の夫婦にも配慮を

正直なところ、新型コロナウイルス蔓延の終わりが見えない今、不妊治療延長は賢明な判断ではありません。
そうなると、このコロナ禍でどのように治療を続けていくかを模索するしかありません。

新型コロナウイルスの感染リスクを下げる事が、不妊治療を続けるうえで重要なポイントになってきます。

妊娠中の女性労働者が、母子保健法の保健指導又は健康診査に基づき、その作業等における新型コロナウイルス感染症に感染するおそれに関する心理的なストレスが母体又は胎児の健康保持に影響があるとして、医師又は助産師から指導を受け、それを事業主に申し出た場合には、事業主は、この指導に基づき、作業の制限、出勤の制限(在宅勤務又は休業をいう。)等の必要な措置を講じるものとする。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11129.html

5月7日付で厚生労働省から妊娠中の女性を新型コロナウイルスの感染から守る為に上記の通達が出ました。
私はこれを不妊治療中の夫婦にも適用を広げてほしいと願うばかりです。

在宅勤務が出来る事で、通院での感染リスクは減りませんが、少なからずも通勤や職場内での感染リスクや濃厚接触者リスクを減らす事は可能です。

個々に治療の延期を検討させるだけではなく、不妊で悩んでいる人が少しでも安心して治療を続けられる環境づくりも検討してほしいと願うばかりです。

 

 

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