【妊活・不妊治療問題】不妊治療がいよいよ保険適用 保険適用まで体外受精を待ってもいいの?

10月14日の夜遅くに不妊治療の保険適用に関するニュースが出ました。

厚生労働省は14日、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会で、菅首相が掲げる不妊治療の公的医療保険の適用に向けた議論に着手した。保険適用する治療法の対象を拡大する方向ではおおむね一致し、今後は具体的な範囲などについて検討する。

部会では、有識者から「少子化対策の観点から経済的負担の軽減を図ることは重要だ」として、保険適用の拡大に賛同する意見が多く出た。保険を適用する治療法の範囲については、厚労省が実施している実態調査の結果を踏まえる方針だ。保険が適用された治療法と適用されなかった治療法を併用する場合の対応も今後、議論する。

早ければ2022年度から保険適用を実現したい考えだ。

参照:https://www.yomiuri.co.jp/medical/20201014-OYT1T50307/

今年頭頃から話題になり始めた、不妊治療の保険適用の話。
その後に新型コロナウイルスの流行。
正直、不妊治療の保険適用の話は後回しにされるのではないかと思ってました。

しかし、思っている以上の速さで保険適用について話が進んでいます。

また、別のオンラインニュースでは…

保険適用されるには、医療保険上の「疾病」の対象になる必要がある。同日の部会では不妊を疾病の範囲とし、保険適用することへの前向きな意見が大半を占めた。

とも書かれています。

長年、厚労省には不妊は疾病ではないから…と言われ続けてきたのですが、ようやく、ようやく疾病と認められ、保険適用に向けて大きく進み出しました。

ここまでくると、保険適用まで不妊治療はいったんお休みしようかな?という人もいるかもしれません。
しかし、それはちょっと待ってください。
不妊治療の保険適用に関してはまだまだ課題も多く、それらすべてが2022年に解決するとも限りません。

何より、年齢によっては保険適用までの期間が妊娠率を大きく左右する可能性もあります。

これから妊活・不妊治療を始めようとする方、今、妊活・不妊治療中の場合、どのようにこれからの治療計画を立てていけば良いのかをお伝えしていきたいと思います。

 

不妊治療の保険適用に向けての課題

不妊治療の保険適用が決まっても、残念ながら、今まで不妊クリニックで行われていた治療すべてが保険適用されるわけではありません。
そして多分ですが、すべての年齢にも保険適用されることは難しいでしょうし、回数の制限もあるでしょう。

これらを2022年の保険適用に向けてこれから審議されていくのだと思います。

年齢制限や回数制限は、多分2022年までにある程度決まるのではないかと思っています。

問題は保険適用する、治療の範囲や保険で使用できる薬の範囲でしょう。
と、同時に混合診療を解禁するかどうかも大きな問題です。

こちらの記事:【妊活・不妊問題】不妊治療の保険適用と助成金

でも書きましたが、それらをすべて決めるのには2年では短いように思います。

もしかしたら、2年後は最低限の範囲でしか保険適用は動き出さない可能性もあります。
その後、審議を重ねて徐々に適用範囲が広がっていく可能性もあります。

2年後の保険適用を待っても、自分が望む治療を必ずしも保険で受けれるとは限らないのです。

 

年齢制限という課題

そして年齢制限も大きな課題です。
年齢制限が35歳になるのか、40歳になるのか、43歳になるのか、45歳になるのか、はたまた35歳から40歳の間のどこかの年齢で区切られるのか、それらは現時点ではわかりません。

日本の不妊治療実施年齢の現状を考えると、せめて43歳までは…とは思いますが…
成績から考えると、厳しい願いなのかもしれません。

33歳を過ぎると体外受精の成績は下降しはじめます。
それらを考えると、35歳までに自然妊娠であれ、不妊治療での妊娠であれ、妊娠を望む行動に移すのが理想なのだと思います。
そして、それが可能なように社会も今後変わっていかないといけないのだと思います。

「妊娠出産はいつでもできる」という考えから「妊娠出産は20代、もしくは30代前半に」という考えが社会全体で共有されたなか、不妊で悩む人が保険診療で治療を受けられるのが理想なのではないかなと…考えます。

ただそうなると、今治療中30代後半の人がおいて行かれる事にもなりかねません。
どこで年齢の線引きをするのか、段階的に年齢制限を強めていくのかは、今後不妊治療の保険適用の審議の中で注目しておきたい箇所だと思います。

 

不妊治療の保険適用を待つかどうかの目安

2年後の保険適用までどのように妊活や不妊治療を進めていけばいいのか?
悩まれる人も少ないくないと思います。

いくつかのパターンを想定しながら、どのように進めていけばよいのかを書いていきたいと思います。

 

自己流の妊活で1年以上経過(35歳以上の場合は半年以上)

自己流の妊活ですでに1年以上経過している場合は、まずは不妊クリニックで検査を受けましょう。
その際は女性だけではなく、男性も一緒に検査を受けてください。

最初に行う不妊検査の多くはすでに保険が適用されていますので、2022年の保険適用を待つ必要はありません。
また、保険が適用されていない検査でも初期の検査は基本的にはそこまで費用がかかりません。

年齢にもよりますが、卵管閉塞や重度な男性不妊でない限り、不妊治療の最初のステップはタイミング治療になります。

基本的に、タイミング治療も保険が適用されますので(排卵誘発剤の種類によっては自費になります)、不妊検査からタイミング治療までは2022年の保険適用を気にする必要はありません。

 

人工授精へのステップアップ

人工授精からは保険が効かないために、自費診療となります。
費用もクリニックによって様々であり、排卵誘発の程度も人によって様々なため、金額が個々でかなり変わってきます。

高いクリニックだと5万以上しますし、2万前後で可能なクリニックもあります。
正直悩ましいところではありますが、男性不妊を指摘されている場合で、30歳以上であれば、私は3回から5回程度を目安に自費でもステップアップをお勧めします。
ただ、30歳未満でもすぐにでも妊娠を望んでいるのであれば、男性不妊を指摘されているのであれば人工授精にチャレンジしたほうがいいかと思います。

逆に30歳未満で精子に特に問題がないのであれば、しばらくはタイミング治療を続けてもいいかもしれません。

 

体外受精へのステップアップ

多分、一番悩ましいのが体外受精へのステップアップをするかどうかだと思います。
保険適用と助成金では大きく金額が変わってくる場合もあります。

ただ、保険診療でも3割負担が必要になってきます。

例えば、低刺激で60万ぐらいで治療が可能な場合(20代や30歳前後を対象にこのような治療を行っているクリニックもあります)
保険診療だと18万円の負担になります。(混合診療や自費診療は考えずに)
補助金の初回が40万まで上がった場合、最終的な負担額は20万になります。

きちんと実績のあるクリニックであれば、保険適用まで待たずにこのような治療方法を選択するのも一つの考え方です。

それを踏まえたうえで…

 

34歳以上の場合

妊娠率がどんどん低下していく年齢に入っています。
2年後の保険適用を待つのは、妊娠率低下のリスクが高いので保険適用を待たずに治療を進めるほうがいいかと思います。

またもう一つの懸念事項として、保険適用の年齢制限にかかってしまう可能性があるという事です。
2年間待ったにも関わらず、年齢的に保険が適用されないという可能性もありますので、そのまま治療を進めた方がいいかと思います。

 

31歳から33歳の場合

正直、一番悩ましい年齢だと思います。
体外受精のデータでは33歳から妊娠率が低下し始めます。

その点を考えると、補助金を使って最低でも1回は体外受精にチャレンジしたほうがいいのではないかと思います。
費用との相談にはなりますが、可能であればステップアップすることをお勧めします。

 

30歳以下

上記に書いたように、低刺激で体外受精を行う方法もありますし、年齢的に保険適用まで待つのも一つの選択肢だと思います。
ただし、20代でも低AMHで早発閉経のリスクが高い人もいます。
一旦、保険適用まで治療を中断するにしても、AMHを測定したうえで医師と相談して決めることをお勧めします。

また、2人、3人望んでいる場合は治療を続けた方がいい場合もあります。

 

簡単にですが、保険適用までの2年間の間の妊活や不妊治療の進め方の一つの目安を書いてみました。

ただ、今まで子供が欲しい、1日も早く欲しいと望んできた場合、この2年間、いったん治療が中断できるかどうかも大きな問題です。
そこも踏まえて、今後どうしていくのか自分たちにとってベストなのかをお二人でしっかりと話し合ってみてください。

 

 

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