【妊活・不妊治療の基礎知識⑥】不妊クリニックを受診するタイミングは?本当に1年以上の自己流妊活期間が必要なのか?

不妊検査を受けるタイミング

そろそろ不妊クリニックに行った方がいいですか?
不妊クリニックを受診するタイミングがわかりません・・・

こちらの質問は、個別相談内でよく頂く質問の一つです。

不妊クリニック受診の目安は・・・
『子供を望んで避妊をしなくなってから「1年」たっても妊娠しない時』
と言われています。

とはいえ・・・
・もっと早く受診した方がいいのでは?
・本当に私も1年でいいの?
・もう少し自分たちで頑張ってはダメなの?

様々な思いが当事者の方の中ではあるようです。

そこで、
・年齢
・月経周期と状態
・基礎体温
この3つの視点から、受診の目安についてご説明していきたいと思います。

 

1 年齢別による受診の目安

「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。日本産科婦人科学会では、この「一定期間」について「1年というのが一般的である」と定義しています。

参照:日本産婦人科学会 不妊症より

日本産婦人科学会によって不妊に関して「1年というのが一般的である」と定義づけされています。
そこで、多くの場合は1年間避妊しても妊娠しない場合は一度病院で検査を受けましょうとなるわけです。

ただし、20代前半の人と30代後半、40代の人で同じように考えるわけにはいきません。

個別相談では「目安は1年だけど・・・」というのを前置きしながら、年齢別の考え方をお話しさせて頂いています。

年齢別と言うと、35歳以上かそうでないかで区切られている記事も少なくありませんが、お話しさせて頂くときはもう少し細かく分類してお話しすることがほとんどです。

というのも、不妊検査は避妊をしてから1年経たないと絶対に受けられないものではないからです。
本当であれば、気になるタイミングでいつでも受診できるものであり、なんなら結婚前にブライダルチェックとして受けておくのもありだと私は考えています。
1年経って受診というのは、1年経っても妊娠しなければ出来るだけ早めに病院を受診してくださいねと促すものだと思っています。

なので、私にご相談くださる時点で本当は病院を受診してくださればOKなのですが・・・
とはいえ、多くの人にとって「不妊クリニック受診」はハードルの高いもの。
だからこそ、受診に関してだれかからの背中押しが欲しいのではないかな?と感じます。

これから書く年齢別は一つの参考にして頂ければと思います。
*生理不順・極度な生理痛、過去に婦人科疾患の診断などがない場合になります。既に婦人科を受診している場合は婦人科の医師にご相談ください。

①25歳以下の場合

生理周期や生理痛など生理の状態に問題なければ、自己流の妊活を1年ぐらい続けてみて、それでも妊娠しなければ一度不妊クリニックを受診してみましょう。

生理の状態に不安がある場合やライフプラン上どうしても早めに第1子を出産したいなどの場合は、1年経たなくても受診は可能です。

 

②26歳~32歳までの場合

こちらも生理周期や生理痛など生理の状態に問題なければ、自己流の妊活を1年ぐらい続けてみて、それでも妊娠しなければ一度不妊クリニックを受診してみましょう。

ただ、この年代は周りの妊娠ラッシュに焦りを感じる年齢だったりもします。
なかなか妊娠しない、不妊かも?と不安になるのであれば、まずは検査だけ受けるのも一つの方法です。

最初の検査では一般的には、ホルモン値、卵管造影検査、超音波エコーによる卵胞の成長と排卵確認、AMH(卵巣予備能)、男性不妊の検査が可能です。
こちらの検査項目で特に問題なければ、自己流の妊活をもう少し続けるのもありですし、そのまましばらくタイミング治療で排卵のタイミングをクリニックで診てもらうのもありです。

 

③33歳~35歳までの場合

そろそろ妊孕力が低下し始める年齢に差し掛かってきます。半年ぐらい自己流の妊活を続けてみて妊娠しない場合は、一度不妊クリニックを受診して検査を受けることをお勧めしています。

また、半年待たずとも気になることがあれば不妊クリニックを受診して医師に確認してみてください

 

④36歳~39歳までの場合

自己流の妊活は半年以内に…37歳を過ぎたあたりからさらに妊孕性が低下していくことを考えると、出来るだけ早いタイミングでまずは検査だけでも受けておくことがお勧めです。

初診予約に数か月待ちというクリニックもあるので、妊活スタートと同時にクリニック選びもスタートしておきましょう。
気になるクリニックが初診予約待ちがあるのであれば早めに予約を取っておいた方がいいかもしれません。

また、妊活スタート時に検査だけ受けてしまうのもありです。
36歳を過ぎると、時間との勝負にもなってきますので同時並行で準備していった方がいいでしょう。

 

⑤40歳以上の場合

自己流の妊活をなしにまずは検査だけを受けるのも一つの選択肢です。その際は、一般婦人科ではなく最初から不妊専門クリニックを受診することをお勧めします。

 

2 こんな場合は1年待たずに不妊クリニックに相談を

上で示した年齢別の目安はあくまでも生理周期や生理の状態にトラブルがないことが前提です。

例えば年々ひどくなる生理痛があったり、生理周期が安定してない(生理周期が25日から38日より外れている)場合や、過去に子宮内膜症や子宮筋腫、卵巣嚢腫という診断を受けたことがある場合は、半年や1年待たずに不妊クリニックを受診したり、日ごろからのかかりつけの婦人科がある場合はそちらに相談するようにしましょう。

これらの症状の中に不妊の原因が隠れている場合もあります。

例えば、生理不順は排卵が上手く行われていなくて起こる事がありますし、子宮内膜症は卵管の詰まりの原因になることがあります。

これらの症状がある場合は、自己流の妊活を頑張るのではなくまずは一度クリニックを受診することをお勧めします。

また上記以外にも、基礎体温が低温期と高温期の2相にならない場合や、高温期が極端に短すぎる場合(一般的に高温期が9日以内は短いとなります)、低温期と高温期の体温差が3℃以内の場合なども、出来るだけ早い段階でクリニックに相談した方がいいでしょう

 

 

3 原因がわかることで早めに治療やステップアップが可能になる

私が早い段階で不妊検査をお勧めするには理由があります。
それは、検査で何か不妊の原因が分かったときに今まで費やしてきた時間が無駄になってしまうことがあるからです。

例えば、精子がほとんどいなかった、卵管が詰まっていた…なんて場合は、自然妊娠が難しく、体外受精が行われることがほとんどです。
そんな場合、何年もの間自己流での妊活で頑張ってきた期間はもう戻ってきません。
これが20代後半や30代前半などであれば、そこからステップアップすればある程度の割合で妊娠に至っていきますが、30代後半や40代の場合はやはり妊娠・出産に至る可能性が低くなります。

検査までに費やした自己流の妊活期間が長ければ長いほど、もう少し早めに検査を受けておけばよかった…という思いになる人も少なくないのです。

だからこそ、33歳を過ぎたあたりからは半年を一つの区切りに出来るだけ早い段階で検査を受けることをお勧めしています。

もし、その検査で特に異常がなければ医師と相談しながら、しばらく自己流の妊活を続けるという選択肢もありますし、クリニックで排卵のタイミングを見てもらうタイミング治療を受けるという選択肢もあります。
必ずしも不妊治療をスタートさせなければならないというわけではありません。

ただ出来れば子供をと…望んでいるのであれば、やはりタイミング治療→人工授精→体外受精と進められていくことをお勧めしています。
というのも、検査では特に問題なくても体外受精をしてみて初めて不妊の原因がわかることがあるからです。

「体外受精をしてみて初めてわかることは何か?」についてはまた別の記事でお伝えしていきたいと思います。

もっと早くに不妊検査を受けておけばよかったと後悔することはあっても、検査を早くに受けすぎたと後悔することはありません。
悩んでいるのであれば、一度不妊検査を受けてみることをお勧めします。

 

 

 

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