【不妊治療情報②】 不妊治療を始める前に考えておきたい事

不妊治療さえすれば、体外授精さえすれば・・・子供を授かるはず
そう思っているカップルは少なくありません。
「子供を持つことなく不妊治療を終える人がいる」そんな話を耳にしたことはあってもどうしても自分事にはなりません。

それは40歳以上とか、重度な不妊の原因がある人だけだ・・・そんな風に思いがちです。
また、「授からないかもしれない」「子供のいない人生を・・・」そんな風に考えると本当に授からないような気がして考えることが出来ないカップルもいます。
子供を授かることしか考えたくないんです・・・と言われた事も実際少なくありません

その気持ちは痛いほどわかります。
私自身も当事者だった頃は「引き寄せ」や「言霊」という言葉を気にした時もありました。
授からなかった時の事を考えだしたら・・・本当に授からないのではないかと心のどこかで思っていた時期もあったからです。

でも不妊治療の結果、子供を授からないと言うのは決して高齢の人や重度な不妊の要因がある人だけではありません。年齢に関係なく、不妊検査の結果に関係なく、残念ながら授からない時は授からないのです。

だからこそこれから不妊治療を始める方、今、不妊治療真っただ中の人には「不妊治療の終わり」について考えてほしいとお話しをさせて頂きます。(*30分の個別相談では質問優先の為この話はしていません)
私自身も不妊治療退職をし、転院を考えた時にはじめて終わりのタイミングについて真剣に考え、初めて夫婦でその話をしました。
なかなか切りだしにくい分野ですが、まずは自分なりの考えを整理しそして夫婦できちんと話し合っておくことをお勧めします。

 

不妊治療を始める時に考えてほしい6つのこと

 

1 子どもは絶対欲しい?

この質問をすると「えっ??」という反応をされることも多いのですが、不妊治療をしたら必ず子供が授かるわけではありません。
検査結果によっては夫婦間で子供を持つことが難しいと言う結果になることもあります。
それでも絶対に子供が欲しいのであれば、卵子提供や精子提供、代理母出産という選択肢も視野にいれていく必要があります。
ただし、日本ではこれらに関しては厳しい制限がありますのでそうなると海外での治療も視野にいれる必要があります。

そこまでしてでも子供が欲しいのか・・・それともそこまではと考えているのか?

それ以外にも特別養子縁組という選択肢もあります。
もちろん特別養子縁組は育てる親がいない子供の為の制度であって不妊で子供が授からないカップルの為の制度ではありません。
それでも不妊で悩んだカップルにとっては選択肢の一つです。
この制度を活用することで子供も夫婦も幸せになれれば問題ないのですから。

ただこれらの選択肢を考えている場合は早めに情報を集めておくことが必要です。

また子供を絶対に欲しいと考えているのであれば、出来るだけテンポよく治療を進めることをお勧めしています。
体外受精をして始めて原因がわかることもあります。それなのにタイミング治療や人工授精に時間を費やしていると今度は年齢と言うリミットが迫ってくることになります。
体外受精にステップアップするには金銭的な問題や通院時間の問題など様々な問題もありますが、それでもある程度の期間でステップアップすることを視野にいれておいてほしいのです。

ステップアップの一つの目安としては(年齢や検査結果によってかわります)、タイミング治療が半年から1年、人工授精が3回から6回程度と言われています。

 

2 子どもは何人ほしい?

まだ一人も授かっていないのに・・・と思われるかもしれませんが、子供は何人欲しいのか?これも妊活・不妊治療を始める時に考えてほしい事です。

1人なのか、2人なのか、それとも3人なのか・・・
それによって治療の進めるスピードが変わってきます。
また、体外受精の場合は2人目、3人目を見越して先に卵子を凍結保存しておくのも一つの方法です。
特に2人目不妊となると1人目の時のような通院は出来ません。
子供を連れて通院が出来ないクリニックもありますし、一時保育が簡単に利用できない地域もあります(利用回数に制限がある等)

実際に一人目の体外受精の時に凍結した卵子で2人、3人と出産している人は少なくありません。
2人欲しい、3人欲しいと明確なビジョンがあればそれも踏まえて不妊クリニックに相談が可能になってきます。

2人、3人欲しいと望むのであれば治療に関してもある程度スピード感が必要になってきます。もちろん思うように不妊治療が進むとは限りませんが2人目、3人目を視野にいれながら治療を進めるのとそうでないのでは大きく違ってきます。

2人子供を望んでいたのに、自然に拘りすぎた結果1人目の出産が30代後半になり、2人目不妊のスタートが40代になってしまい2人目を諦めたという例もあります。

また、30代前半で不妊クリニックに通院するとまだ若いのだから・・・と言われることもありますが、そののち2人、3人欲しいからと言って・・・早めにステップアップ出来る計画を立ててもらうのも一つの手段です。

 

3 治療のステップアップはどこまで?

これは1とも少し関わってくるのですが、どこまでステップアップするのか?どこまで検査を受けるのかを事前に考えておくことは必要です。
子供が絶対欲しいと考えているのに、体外受精までは考えていない・・・というと矛盾が起こってきます。

また実はこれは夫婦間ですれ違ってくる部分でもあります。
妻の方は体外受精まで考えていても、夫の方は自然で・・・と言われることも少なくありません。そしてここの意見の違いで治療がストップしてしまう事も少なくないのです。

治療のステップに関しては、不妊治療を始める段階でぜひ夫婦で考えてほしいと思います。
検査にしても治療にしてもその場その場で判断が必要になってきます。
必ずしも妊娠出来るわけではなく、また保険適応外であることが多く高額な費用が発生する事も少なくありません。

治療を進めないと妊娠を望むことすら出来ない場合もあります。
そんな時にどうするか・・・様々な可能性を考えて自分たちで決めて行かなきゃいけないことを知っておくだけも全然違うのです。

 

4 いつまで不妊治療を続ける?

不妊治療は出口の見えないトンネルに例えられることが多々あります。
終わりを決めるのは自分達しかいないのです。

一つの目安としては、タイミング治療半年から1年 人工授精 3回から6回 体外受精6回前後とは言われていますが、お金が続く限り、採卵出来る限り、諦められないという人も少なくないでしょう。

採卵が何度失敗に終わっても次こそは、次こそは・・・と採卵にチャレンジする人もいます。
だからこそ自分の中である程度不妊治療の終わりを考えておいてほしいのです。

治療回数で区切りをつける人、年齢で区切りをつける人、金額で区切りをつける人、本当に様々です。
自分たちはどうするのか?ざっくりでも良いので一度イメージをしてみてください

 

5 仕事と治療は両立できる?

働いている女性にとってこれも大きな問題です。
働き方によっては選べるクリニックが限られてくる場合も少なくありません。
特に地方在住の場合はそれが顕著になります。

不妊治療と仕事が両立できる制度はあるのか?
制度がなくても掛け合える社風はあるのか?
それをまずは確認してみてください。
仕事を退職する選択肢は最後にしてほしいと思います。

ただ、仕事優先で通いやすいだけでクリニックを選ぶのも避けたいところだったりします。
ここらへんはまたどこかの機会で書けたらと思います。

 

6 転院も視野に入れておく

最後に不妊治療に関しては転院も視野に入れておくことが必要です。通院してみて初めてわかることもあります。上手くいかなくてもただひたすら同じ治療方法を続ける医師もいます。男性不妊にはあかるくなくとりあえず顕微授精を繰り返す場合もあります。
他のクリニックで受けられる検査や治療方法を取り入れてないクリニックもあります。
もちろん闇雲に転院を繰り返すべきではありませんが、必要に応じて転院することも考えて、他のクリニックの情報や様々な治療や検査について情報を入手しておくことも必要です。

 

不妊治療は、クリニックによっては一緒に進め方を考えてくれるクリニックもあるでしょうが、気づけば同じことを繰り返し終わりが全く見えないという事も少なくありません。
様々な情報を入手して転院したいと思った時には既に金銭的にも年齢的にも難しい場合もあります。
だからこそ不妊治療を始める前に自分たちはどんな未来を望んでいるのか、どのような治療や検査を望んでいるのか一度考えておいてほしいなと思うのです。

 

 

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