【不妊治療と保険適用】 体外受精へのステップアップ 2022年4月まで待つ?待たない?

2021年12月15日 最新記事はこちら

【不妊治療と保険適用】不妊治療の保険適用まで残り3ヶ月 どのように治療を進めたらいい?

 

昨年から話題になっている不妊治療の保険適用に関する内容が少しずつですが、明らかになってきました。
と同時に、保険適用まで後9ヶ月を切りました。
保険適用まで体外受精のステップアップを待つか待たないか…
頭を悩まされる方も少なくありません。

昨年にも類似コラムを書いていますが、改めて保険適用に向けての治療の進め方について、この記事ではお伝えしていきます。

 

現時点で保険適用に関してわかっていること

 

現時点で不妊治療の保険適用に関してわかっていることは以下の点

・保険適用を検討されているのは日本生殖医学会がガイドラインの推奨度で、レベルA(強く推奨)とレベルB(推奨)の2つ
・ガイドラインのレベルCに関しては保険適用は見送りだが、一部は保険診療と併用できる先進医療として扱い、有効性や安全性の検討を行う
・不妊治療薬(排卵誘発剤 勃起不全の治療薬など)の承認手続きの迅速化
・不妊治療の保険適用 女性の年齢 43歳未満をベースに議論

参照
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20210704-OYT1T50004/
https://mainichi.jp/articles/20210710/k00/00m/040/181000c
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20210710-OYT1T50276/

 

それに先立ち、日本生殖医学会が不妊治療の標準的な治療法を記した初めてとなるガイドラインの案を発表しました。

ガイドライン案はこちらから確認できます。

生殖医療ガイドライン(案)

 

気になるのは何がレベルAとレベルBになり、どの項目がレベルCになるかです。

患者の選択肢として影響が出てくるのは、レベルCになっている ”着床に関する検査類、移植の方法や手技(seet法など)” この点だと思われます。

 

タイムラプスや顕微授精の手技の一部に関してもレベルCとなっていますが、こちらはクリニックが今後オプション料金として設定するかどうかの問題もあり、(タイムラプスに関しては追加料金が不要なクリニックもあります)保険適用がスタートしてみないとなんとも言えないところだと思います。

 

個人的な感想としては、想定していた以上に広い範囲で保険適用になりそうだと感じています。

さて、これらを踏まえたうえで、保険適用までの9ヶ月間どのように不妊治療を進めていけばいいのかを解説していきます。
(あくまでも一つの考え方としてお読みください)

 

不妊スクリーニング検査、タイミング治療、は止まらず進めていこう

不妊クリニックを最初に受診したさいに行う検査や、タイミング治療(一部の排卵誘発剤は除く)の多くは保険診療です。

”不妊治療=すべて自費診療”と思われている方も少なくありませんが、保険診療で行える診療もあります。
年齢にもよりますが、半年から1年自己流の妊活を続けていて妊娠しない場合は、2022年の4月を待たずにまずは不妊クリニックを受診し、基本的な検査を受けましょう。

検査を行うだけでも、1周期から2周期かかります。
また、検査をしてみてAMHが低いことなどに気が付く場合もあります。

場合によっては4月の保険適用を待たずに体外受精へのステップアップを考えなければならない場合もありますので、保険適用まで待たずにまずはクリニックで検査を受けることをお勧めします。

 

人工授精へのステップアップはどうする?

 

保険適用のニュース内ではまったく人工授精に関しては触れられていないため、今後人工授精がどのような扱いになるのかは現時点で未定です。
(もしかしたら保険適用が大前提のため話題にもあがってこないだけかもしれませんが…)

人工授精の費用はだいたい2万から3万。
都市部の高いクリニックだと5万以上する場合もあります。

人工授精の費用が2万から3万ぐらいのクリニックであれば、男性不妊を指摘されている場合は保険適用を待たずに人工授精へステップアップされてもいいかと思います。
ただし、人工授精の回数は3回から5回ぐらいまで
その後は、体外受精へのステップアップを検討するか、保険適用までまつのも一つの選択肢かと思います。

というのも人工授精での妊娠率はあまり高くありません。
人工授精で妊娠される方の多くは3回目から4回目までで妊娠されというデータもあります。

 

男性不妊を指摘されていない場合は、年齢によって変わってきますが人工授精へステップアップしないで、
・体外受精へステップアップする
・4月まではタイミング治療を続ける
・2人ともに原因がない場合は治療を中断する(30代前半まで)

という選択も可能です。

 

男性不妊の検査と治療は保険適用までに済ませておきましょう

 

保険適用までの9ヶ月間に済ませておいてほしいのが、男性不妊の検査です。

男性不妊に関するスクリーニング検査は一部自費診療のクリニックもありますが、保険診療で検査が可能です。

ホルモン検査やエコー検査もクリニックよっては保険診療内で行えるクリニックもあります。
まずはそのようなクリニックで男性不妊のスクリーニング検査を受けましょう。

男性不妊検査で何か問題があった場合、精索静脈瘤が原因であれば手術も保険診療で行えます。
(術式によっては保険適用外ですが、この術式が4月に保険適用になるかどうかは不明)

不妊治療の保険適用までに男性不妊の検査を済ませておけば、体外受精へのステップアップもスムーズに行えます。

もし、4月以降に検査を受けて精索静脈瘤が見つかり手術を行った場合は、精子の回復を待つため最低でも3ヶ月前後は治療にストップが入ります。

また、4月から不妊治療を動き出す人が多ければ、精索静脈瘤の手術に数か月待ちということも起こりえます。
特に、地方の場合は精索静脈瘤の手術が出来る医師も多くないため都市部以上に、手術のために数か月待ちという状態が続く可能性もあります。

 

4月からスムーズに治療を進めるためにも、まずは保険適用までの期間の間に男性不妊の検査を終わらせておくことをお勧めします。

 

年齢別、体外受精へのステップアップの考え方

 

タイミング治療半年から1年、人工授精も3回から6回、次の選択肢は体外受精へのステップアップ、でも保険適用まで待とうかどうしようか?という人も少なくないでしょう。

今の助成金の1回目が40万、ということは1回の治療費(採卵・移植あわせて)が60万(保険負担18万)ぐらいまでのクリニックであれば1回目の体外受精のみ行うという選択もあります。
ただ、ここに高額療養費制度も使えるようになってくるので、実際は保険適用を待った方が支出がさらに抑えられる可能性は高くなります。
(ただし高額療養費は1ヶ月単位での計算になるのでその点は注意が必要です)

 

それを踏まえて、年齢別の進め方の考え方を書いていきます。
治療の進め方を考える、一つの参考にしていただければと思います。

 

AMHの値が1以下の場合

年齢関係なく、保険適用を待たずにステップアップ考えることをお勧めします。

 

37歳以上の場合

体外受精の結果でも妊娠率の低下のスピードが速くなってきます。
9ヶ月先延ばしにするのはあまりお勧めできません

 

34歳から36歳の場合

正直、一番悩ましい年齢だと思います。

保険適用まで1年以上あるのであれば、立ち止まらずに治療を進めていく事をお勧めします。
ただ、残り9ヶ月を切った今、出来るだけ費用を抑えて治療を受けたいと思う人も少ないないはずです。

先ほども書きましたが、費用が60万~70万ぐらいの間で収まるのであればそのまま体外受精にステップアップするのもありだと思います。

また、体外受精を機に転院を考えている人は、そのまま転院の準備を進めてしまいましょう。
クリニック選び⇒初診予約⇒初診⇒検査⇒体外受精説明会であっという間に数ヶ月が過ぎてしまいます。

中には転院の場合は、数回タイミング治療か人工授精を勧められるクリニックもあります。

そんなことをしているうちに気が付けば、2022年の1月や2月になっていた…という場合もあります。
そうなれば、後2ヶ月ぐらいですから、採卵は4月スタートでもいいかと思います。

 

33歳以下の場合

AMHの数値に問題がなければ、保険適用まで待つのもありです。
ただし、同じように4月の保険適用を待っている人は多くいます。
人気のクリニックの場合、初診予約が取れない可能性もあります。

ですから4月から動き出すのではなく、それまでに初診や体外受精説明会までは終わらせておくようにしましょう。

また、初診を受けて、体外受精説明会を受けてからこのクリニックで体外受精をするのは…と思う人もいるでしょう。
いくつか候補のクリニックを選んでおき、4月までの間に気になるクリニックは受診したり、説明会に参加しておくといいかと思います。

くれぐれも動き出しが4月にならないように注意が必要です。

 

すでに体外受精にステップアップ済みの場合

こちらも年齢によっては考え方は変わってきますが、年齢に関係なく胚盤胞にならない、採卵できない…などの理由がある場合は、保険適用まで治療を中断することはあまりお勧めできません。

ただ転院を考えている場合は、今のクリニックで治療を繰り返すのではなく、転院に向けて動き出してもいいかと思います。

また同じクリニックで同じ方法を繰り返している人も、一度転院を考えてみてはいかがでしょうか?

 

不妊治療の保険適用まで残り9ヶ月。
ここで保険適用を待つかそのまま進むかは正直悩ましいところです。
とはいえ、どうするか決めなければなりません。

保険適用を待つかどうかは悩ましいところですが、この記事が一つの参考になればと思います。

また、保険適用関係なく1日もはやく我が子を授かりたいと願うのであれば保険適用を待たずに治療を進めていくのも一つの選択です。

 

 

 

 

 

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