国際女性デーに思う事 リプロダクティブ・ヘルス・ライツが当たり前の社会へ
3月08日は国際女性デーです。
3月01日~女性の健康習慣も重なり、都市部やオンラインを中心に、様々なイベントや発信が行われています。
この記事ではそんな国際女性デーにあたり、私自身が思う事、考えている事を綴っていきます
国際女性デーとは
そもそも国際女性デーとはどういう日なのでしょうか?
国際女性デーとは、1904年アメリカ合衆国のニューヨークで、参政権のない女性労働者が労働条件の改善を要求してデモを起こし、これを受けドイツの社会主義者クララ・ツェトキンが、1910年にデンマークのコペンハーゲンで行なわれた国際社会主義者会議で「女性の政治的自由と平等のためにたたかう」記念の日とするよう提唱したことから始まった日と言われています。
しかしこの日が「国際婦人デー」と定められたのは70年もあとの話で、国連が1975年(国際婦人年)の3月8日以来この日を「国際婦人デー」と定め、現在は国際連合事務総長が女性の十全かつ平等な社会参加の環境を整備するよう、加盟国に対し呼びかける日となりました。
Wikipediaより
ただ日本で国際女性デーが意識され始めてからはまだ数年程度。ここまで話題にあがるようになったのは本当にここ1.2年です。
とはいえ、この盛り上がり、話題性もまだまだ一部のものでしかありません。
課題が散見している日本
2022年の出生数は80万人を下回ることが、先日発表されました。これは想定より11年早い数字になります。
ただ私個人的には、90万人を下回った2019年より世の中の反応は冷ややかな気がしています。
この3年間、少子化対策、子育て支援、何が大きく変わったのでしょうか?
確かに不妊治療が保険適用になったのは大きな出来事でした。ただ不妊治療の保険適用は少子化対策とは切り離して考えるべきものです。
そもそも、女性の当たり前の権利が疎かにされているこの日本で、子どもを産み育てたいと考える人が減っていくのは仕方ないものではないか?とも思うのです。
数年前から、時折目にするようになった「リプロダクティブ・ヘルス・ライツ(性と生殖に関する健康と権利)」という言葉。
「産むか、産まないか、いつ産むのか、何人産むのか」を自分で決めることが出来る、至極当たり前の権利。実はこの権利さえ、十分に保証されていないのが今の日本なのではないでしょうか?
この権利の中には、当たり前だが「産まない選択 妊娠の中断」も含まれます。
しかし残念ながら、中絶には配偶者の同意を求められることがまだまだ多く(状況によっては臨機応変に対応してくれる病院も増えてはきていますが…)、緊急避妊薬へのアクセスも十分ではなく、そもそも女性が主体的に選択できる避妊方法も限られているのが現状です。
そのうえ、子どもを持ったら持ったらで、母親ペナルティ、母親の罰なんて言う言葉が並べられます。
女性の当たり前の権利を当たり前に保証する。
自分の身体のことは自分で決めることが当たり前になる。
本来自分の身体について、知ること・選択肢があることは当たり前のはずなのにそれが当たり前ではありません。
まずはこれらの権利を保障することが最優先ではないかと思うのです。
都合のよい情報、怪しげな情報に振り回されない知識を身につけることも必要
ようやく女性自身がリプロダクティブ・ヘルス・ライツについて知り、決定権は自分にあること、そして、それを権利として求めることが出来ることに対して、声に出す機会が増えてきました。
ただ同時に、それらを利用しようとするビジネスが出てきているのも事実です。
例えば、最近のフェムテックブームもその一つでしょう。
フェムテックブームのおかげで、様々な選択肢が増え、リソースが増えた反面、根拠の乏しい怪しげな商品やサービスが増えたのも事実です。
ビジネスチャンスとばかりに様々な企業が参入もしてきています。
また、卵子凍結もそのようなビジネス的な面が見え隠れするのが現状です。
確かに、メリット・デメリットをしっかりと把握し、将来のことを計画的に考ることも含めて、卵子凍結という技術を提供するのであれば、それもリプロダクティブ・ヘルス・ライツのひとつになりえるでしょう。
ただそこまできちんと説明しているクリニックはどこまであるのかは疑問です。
だからこそ、自分のことは自分で決定できるように適切な知識と情報リテラシーを持つことが必要になってきます。
リプロダクティブ・ヘルス・ライツを始め、女性が自分のために声を上げることはまだ始まったばかりです。
だからこそ様々な困難もあるでしょう。
怪しげな情報に振り回されることも出てくるでしょう。
でもそれらに屈することなく、当たり前の権利が当たり前になるように声を上げ続けていければと思います。
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