【新型コロナウイルス関連】不妊クリニックの対応は様々
4月01日に日本生殖医学会から新型コロナウイルス(COVID-19)に関する声明が発表され、それに伴い各クリニックの対応をHPの情報を元に調べました。
日本生殖医学会の声明内容は↓からご覧いただけます。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する日本生殖医学会からの声明
各クリニックの情報はこちら
新型コロナウイルスに関する各クリニックの対応一覧 ≪北海道 東北版≫
新型コロナウイルスに関する各クリニックの対応一覧 ≪関東版①≫
新型コロナウイルスに関する各クリニックの対応一覧 ≪関東版② 東京≫
新型コロナウイルスに関する各クリニックの対応一覧 ≪関東版③ 神奈川≫
新型コロナウイルスに関する各クリニックの対応一覧 ≪東海 北陸 甲信越版≫
新型コロナウイルスに関する各クリニックの対応一覧 ≪西日本版≫
このクリニック情報を調べながら思った事を【新型コロナウイルス関連の情報】を中心にまとめていきたいと思います。
実はクリニックの地域別の偏りなど他にも気になった事はたくさんあるのですが、それらはまた別の機会にまとめていきます。
HPの情報を基準にした理由
最初に今回このクリニック情報を調べるのに各クリニックのHPを参考にしました。
掲載クリニックは 不妊に悩む方への特定治療支援事業 指定医療機関一覧 から掲載しています。
HPを参考にしたのは一番公に公開されている情報だからです。
HP内で「新型コロナウイルス関連に関する情報はこちら」と誘導があった場合のみブログの内容も掲載しています。
中にはツイッタ―やFacebookなどのSNSを利用して最新情報を更新されているクリニックもあるかもしれません。
HPと別に切り離してブログ内で情報を更新されていたクリニックもあったかもしれません。
でも、患者やこれから不妊治療を始めようとする人の多くがアクセスするのがHPのトップページだと思います。
だからこそHPのトップページからアクセスしやすい箇所に情報があるというのはとても重要なのではないかと思うのです。
確かに、現在通院されている患者さんに対しては診療時にアナウンスすることも可能でしょうし、一斉にメール等で連絡がいっているクリニックもあると思います。
しかし、これから不妊治療をしようと考えていた人はまずはHPにアクセスするでしょう。
この新型コロナウイルスの影響で先送りにしていた「不妊治療」と向き合う事になった人もいるでしょう。
そんな人達もアクセスしやすいという条件でHPに記載されている情報を中心に掲載しました。
掲載クリニックを 不妊に悩む方への特定治療支援事業 指定医療機関一覧 からにしたのは、不妊治療クリニックの選びかたをお伝えする記事内で今後詳しく書いていこうと思っていますが、出来る事なら初診から指定医療機関を選んで頂きたいという思いがあったからです。
不妊クリニックの対応は?
各不妊クリニックの対応
・通常通り(患者判断に委ねるも含む)
・すべての治療を中止若しくは休診
・妊娠につながる治療(タイミング治療 人工授精 胚移植)は中止 採卵のみ実施
・一部の治療を中止(採卵を含む体外受精は中止 体外受精のみ実施など)
・声明通りに延期を推奨するが最終的には患者判断
・個別相談 診療時に要相談
・その他
・記載なし
大きくわけると各クリニックの対応はこのような感じで本当に様々です。
明確に記載されておらず、文章の中から曖昧なニュアンスを読み取らなければならないクリニックも少なくありませんでした。
現在、西日本と関東の集計が終わったところですが、実際のところは記載なしが53%で半数以上のクリニックはこの件に関してHPに記載がありませんでした。通常通りと記載していたところは24%弱、不妊治療全般を延期若しくは妊娠につながる治療を延期(延期推奨も含む)が15%弱という結果でした。
(全国の集計が終わればそちらの数値を反映します。)
このことからも今通っているクリニックで不妊治療の延期を求められたからといって必ずしも不妊治療そのものを中断する必要はないという事です。
自分たちが納得できる治療が選択できるクリニックを探して転院するというのも一つの選択肢になります。
(ただし現状県を超えての治療が難しい場合もあるので治療選択肢の少ない地域ではクリニックの方針に従うしか選択肢がないという場合もありますが・・・)
地域別の傾向はあるのか?
特別警戒地域の都道府県とそうではない県、そしてその中でも特に発生数の多い県とそうでない県、地域によって新型コロナウイルスの感染状況は様々です。
そこで今回の不妊クリニックの対応において地域別で何か傾向があるのかを関東と西日本を中心に見てみました
(全国で比較後そちらの情報も掲載します)
まず発生者数が一番多い東京都ですが、HP内にクリニックの対応を記載していなクリニックが34%しかなく、他の地域と比べてもなんらかの対応が記載されている率が多かったのが特徴的です。それは発生者数が2番面に多い大阪でも同様の事が言えました。
そして東京、大阪共に35%強のクリニックで通常通りの診療が行われていました。
東京も大阪も不妊治療全般を延期若しくは妊娠につながる治療を延期(延期推奨も含む)は20%弱程度。
こちらは他の地域と比べると少し高い傾向にはあります。
やはり感染リスクの高さと外出制限から、通院を勧めにくい状況にあるのではないかと思います。
ただ、特別警戒地域であるからといって必ずしも診療を取りやめていたり、治療の延期を求めているクリニックばかりではないことがわかります。
そしてもう一つ傾向的に多く見られたのが、新型コロナウイルスの発生数が少ない地域では治療方針に関して掲載されているクリニックじたいが少ないと言う点です。
感染のリスクが少ない地域ではそこまで逼迫した感覚はなくわざわざHPに記載するほどでもないという認識で、通常通りに診療が行われているのかもしれません。
これから不妊治療をスタートしようと考えている場合は、HPに対応が記載されていない場合はまずは問い合わせをしてみることをお勧めします。
通常通りに診療しているところもあれば、初診に関しては数を絞っている場合もありますので一度確認されることをお勧めします。
病院の形態によっての違い
不妊治療を受けられるクリニックは大きく分類すると以下のようになります
・不妊治療専門クリニック
・産婦人科に併設された不妊治療クリニック
・産婦人科や婦人科内で行われている不妊治療診療
・大学病院
・総合病院
この中で気になったのが、大学病院と総合病院の対応です。
大学病院や総合病院によっては新型コロナウイルスの患者を受け入れ最前線で診療に当たられている病院も当然ながらあります。そのような病院の場合、どうしても即命に関わる疾患以外は診療の受け入れをストップせざる追えなくなります。
また直接は新型コロナウイルスの受け入れをしていなくても可能な範囲で外来を縮小している病院もあるでしょう。
実際、私の周りでも(不妊治療患者ではない)90日分の薬が処方された・・・なんていう話も耳にします。
病院の全体方針で不妊診療も縮小せざる負えない事もあります。
この場合、医師やスタッフが不妊治療は不要不急ではないと訴えても病院全体の方針に従わざるおえません。
実際に不妊治療の中止や外来診療の大幅な削減を記載されている病院もありました。
また、一つの科としては記載はなくとも病院全体で外来診療を大幅に自粛しているのだろうと読み取れるHPもいくつかありました。
人の出入りが多い病院では院内感染を防ぐためには致し方ない対応なのだと思います。
大学病院や総合病院で不妊治療を受けられている場合は今後の第2波、第3波に備えて転院も視野に入れながら考えておく必要があるのかもしれません。
不妊治療当事者はどのように対応したらいいのか?
まずは自分達がどうしたいのかをご夫婦やカップルでまずはとことん話し合ってください。
治療を続ける事のメリット・デメリット
治療を辞める事へのメリット・デメリット
思う限り紙に書きあげていってください。この場合は口で言うと後で忘れてしまう事もあるので、お互いの目にしっかり留まるように書きあげていくの方が良いと思います。
そしてその出てきたメリット・デメリットについて一つずつ話あっていくしかありません。
治療を続けた場合・・・
まず一番に出てくるのが通院時における感染リスクです。
そしてクリニックのスタッフ間の間で感染が発生した場合にクリニックでの診療体制や治療周期に入っている場合はどうなるのか?などの問題が出てきます。
都市部のクリニックよっては院内感染が発生した際の対応がHP内に明記されているところもありました。
近隣のクリニックと協力して対応していくと明記されているクリニックもあります。
グループクリニックはグループクリニック内の他のクリニックで治療が継続できる場合もあるかもしれません。
また自身が感染した場合や濃厚接触者となった場合は治療が中断となる可能性がある事も視野に入れておかなければなりません。
多くのクリニックでその場合も診療にかかった費用は戻す事は出来ないと明記されていますので、費用面でのリスクも考えておかなければなりません。
正直、現状では完全な感染対策はありません。だからこそもし感染したら・・・という事も想定しておく必要があります。
そして、タイミング治療、人工授精、体外受精(胚移植)の先にあるのは妊娠です。妊娠中の感染予防はもちろんのことですが、もう一つ問題として出てくるのが「出産」です。
既に予約済みの里帰り出産に関しては対応している産院も、新規の里帰り出産に関しては予約を停止しているところも少なくありません。どこで産むのか?産後の身の回りの世話はどうするのか?なども話し合っておく必要があります。
男性の育休や育児参画はまだまだ道半ばです。この新型コロナウイルスの流行を機にという声が上がっているのも知っていますが、現状を見る限りすぐに解決する問題ではないでしょう。
このような世の言葉や風潮をあてにしてさほど動きや変化がなかった時に一番困るのは当事者であるお二人です。
妊娠した先も見据えてご夫婦でしっかりと話し合って決めていく必要があると思います。
治療を中断した場合・・・
正直、こちらの決断をされる夫婦も少なくないと思います。
その場合考えておきたいのが・・・
・いつ治療を再開するのか?
・子供を持たない未来を想像できるか?
という事です。
一旦、緊急事態宣言は解除される方向で動いていますが、いつ第2波、第3波が来てもおかしくはありません。
正直この不安定な状況がいつまで続くかは誰にもわかりません。
1年後何事もなかったように生活しているかもしれませんし、3年、4年と幾度も今回のような緊急事態宣言を繰り返しているかもしれません。もしかしたらもっと大きな流行が来て、もっと厳しい外出制限がかかっているかもしれません。
この先、どうなっているかは誰にもわからないのです。
だからこそ、この状況が落ち着いたら治療を再開しようという見通しではいつまでたっても治療が再開出来ない可能性もあるのです。
正直、何が正しくて、何が答えなのか、誰にもわからないのです。
もちろん私にもわかりません。
ただ、あの時もう少し考えればよかった・・・それだけは思ってほしくありません。
「少なくともあの時は今できるベストな選択をした・・・」と数年後に思ってほしいのです。
もし、夫婦だけでは決められない・・・と悩んでいるのであれば、クリニックの医師やスタッフにぜひ相談してください。
その時にどのような対応をしてもらえるかが今後の判断につながる事もあるかもしれません。
通院前の方やクリニック内で相談できる環境がないという方は、行政や民間の相談機関を利用すると言うのも一つの方法かと思います。
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≪プロフィール≫ 笛吹 和代 関西を中心に活動し、臨床検査技師の国家資格を保有する、日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー 自身の不妊治療退職をきっかけに「働く女性の不妊治療退職ゼロ」を目指して、妊活や不妊の悩む女性の個別相談を行ったり、セミナー講師として活動したり、妊活や不妊をサービスとする専門家向けの講座を実施。 また、働く女性向けサイトで妊活コラムも担当 2017年5月 医療職とファイナンシャルプランナーによる妊活や不妊で悩む女性を支援するプロジェクトチームを立ち上げる。2018年9月には第1回目の妊活イベント「ワタコレ」を関西で開催し100名を超える方で当日はにぎわった。 現在は妊活や不妊治療支援サービスを行う企業と提携し顧客向けの妊活や不妊相談なども行っている。 ≪経歴≫ 子どもの頃から身体の仕組みに興味があり、医療系の学部に進学する。 その後健診現場に復帰するが、自身の経験から不妊で悩む女性の支援をしたいと事業をスタートさせる。現在は当事者支援と不妊予防を伝える事に力を入れている。 ≪講座開催実績≫ ≪コラム掲載≫ ≪取材実績≫ ≪ラジオ出演≫ 講師・取材・執筆依頼は下記からお問い合わせください |