【妊活・不妊問題】不妊治療を取り巻く様々な格差 クリニックごとの治療方針や治療技術差を知ったうえでクリニック選びをしよう
不妊治療クリニック選びに悩むご相談は実は少なくありません。
なぜ、多くの人がこれほどにクリニック選びに頭を悩ますのでしょうか?
そこには不妊治療クリニックがおかれている特殊な環境があります。
通常、普通に通う病院を探すのであればそこまでは悩みません。
例えば、歯医者に通うとします。
みなさんは何を基準に歯医者を選びますか?
・自宅から近いこと
・夜間診療があること
・土曜診療があること
・子連れスペースがあること
多くの場合は、自分が通いやすい条件で探すでしょう。
ここに、インプラントや歯科矯正など条件がある場合は、それも加味されるかと思います。
せいぜい技術的な要件を加味してもこの程度なのです。
よほどのことがない限り、隣の市町村や同じ県内でも40キロも50キロも離れた先の歯科クリニックは選ばないのでしょう。
ましてや、他県のクリニックを選ぶなんてことはまずないと思います。
しかし…不妊治療の場合は時にして他県のクリニックを選ぶ必要までが出てくるのです。
それぐらい不妊治療のクリニック選びは難しく、わかりにくいものなのです。
その原因の一つが、各クリニックごとの治療方針や治療技術の差にあると考えています
自由診療から発展したためにうまれた不妊治療の治療格差
自由診療のメリットの一つは、医療側がコストを考えずに治療を提供できることです。
患者側もたとえその治療が賭けであっても、新しい治療にお金があれば挑戦することが出来ます。
また、不妊治療がこの40年で急激な発展を遂げたのも自由診療だったことは非常に大きな点だと思います。
保険診療に縛られなかったからこそ、新しい挑戦が出来、新たな技術が確立されていったのでしょう。
これが保険診療内であれば、新しい治療の承認に時間がかかり、ここまでの不妊治療技術の進歩はなかったかもしれません。
しかしそれらは同時に不妊治療の治療格差も生み出しました。
各クリニックが独自で技術力をあげた結果、各クリニック間で治療方針の違いや、技術力に大きな差が生まれてしまうことになりました。
しかし、この違いは患者が外から見ただけではわかりません。
患者にとっては医師が不妊治療を掲げていれば、程度の差はあれどこにいっても基本的な部分は同じ治療が受けられるものだと思っています
まさか自分達でクリニックを見極めて選ばなければならないなんて最初は誰も思っていないのです。
そして、地方であれ、都市部であれ同じ医療が受けられると思っています。
その結果、あまり治療技術のないクリニックで何年も同じ治療を繰り返し、お金も時間も費やしてしまっている人がいるのも事実です。
それ以外にも、他の診療ではあきらかにトンでも医療と評されている治療でも、平然と行われているクリニックもあります。
不妊治療や産科・婦人科と関係ないクリニックが自由診療であるのをいいことに、妊娠のための体質改善を謳った根拠の乏しい高額な治療を提供しているクリニックもあります。
がん治療などではおかしな治療に関しては「おかしい」と医師が声を上げ始めているにもかかわらず、不妊治療の世界では見て見ぬふり、放置状態です。
治療格差はないという意見
こういう話になると「不妊治療クリニック間に治療の技術差はない」「わざわざ越県してまで遠いクリニックに通う必要はない」という意見を耳にすることがあります。
本当に治療格差はないのでしょうか?
多くの患者がクリニック間の治療技術の差を感じ、転院を繰り返しています。
私が以前行ったアンケートでは8割の人が転院したもしくは転院を考えているという回答でした。
その中には2回以上転院をしている人が2割弱もいるのです。
とある方のツイッターのアンケートでは9割以上の人がクリニック間の治療技術差を感じているという結果もありました。
治療格差はないという医療者側、治療格差を感じている患者
なぜ、こんなにも双方の感じ方に差が出てしまっているのでしょうか?
ちなみに私自身も、様々な方のご相談を伺いなら…
なぜ、ここまでもクリニック間で治療格差があるのだろう?と頭を抱えたことが何度もありました。
・普通なら当たり前に行われるべきことが、あるクリニックでは行われていない…
・男性不妊をしっかりみてくれるクリニックとそうでないクリニックがある
・5回も6回も新しい提案もなく同じ治療をただ、ただ繰り返されている。
・こちらからステップアップを打診しても何年も人工授精を続けさせられている。
(地理的に転院が難しい)
他にもあげだせばキリがありませんが、このような事を状況に一人で悩んでいる当事者は少なくありません。
もしかしたら、これらは治療格差ではなく単なる「治療方針の差」だと思われているのかもしれませんが…
方針の違いか治療技術力の違いかは当事者にはわからない
確かに医師によって治療方針の差はあるでしょう。
しかし、治療方針の違いなのか治療技術力の違いなのかは患者自身には正直わかりません。
例えば・・・・
治療方針の違いで最もわかりやすいのは「採卵の刺激方法の違い」です。
こちらは、少し不妊治療に詳しくなってきたり、治療年数が長ければ知っている人が多い治療方針の違いの一つです。
でも、これから始めて不妊治療をスタートする人にとっては初めて聞く言葉ばかり。
採卵一つにしても選択肢があること、そしてそれを自分たちで決めてクリニック選びをしなければならないなんてことは知らない人がほとんどでしょう。
そもそもクリニック選びの段階で方針に違いがあり、それを患者自身が選ばなければならないのが現時点の状況です。
クリニックで検査結果などを見ながら医師と相談して治療方針を決めていく。
自分に最適な治療方針を医師が決めてくれる
多くの患者はそう考えていますが、残念ながら全てのクリニックがそのような方針を取っているわけではありません。
クリニック選びの段階で治療方針が決まってしまっているという場合も少なくないのです。
それ以外にも、男性不妊に関して適切な検査や治療をしてからステップアップを進めるのか、とりあえず顕微授精を繰り返せばそのうち…という提案では大きな違いです。
「うちのクリニックでは男性不妊は見ていません」という方針なのかもしれませんが、患者側からすれば「男性不妊を見れるだけの医師がいない」という治療格差でしかありません。
ただこれらのほとんどは、クリニックである程度治療を進めた段階にならないと気が付くことが出来ません。
保険診療での移植回数が制限されている現時点では、早い段階でクリニック間で治療方針や治療技術に差があることを当事者自身も知っておく必要があります
治療方針や治療技術差を知ったうえでクリニックを選ぼう
不妊治療のクリニックを選ぶ際に、頭の片隅に置いておいてほしいのが、各クリニックごとで治療方針や治療技術差があるということです。
保険診療で不妊治療を受けられる回数には制限があります。
保険診療回数が終了してから、治療方針や治療技術の差に気が付いた場合、残りの診療は自費にとなり高額な治療費が必要になります。
だからこそ、近さや通いやすさだけでクリニックを選ぶのではなく、各クリニックごとの治療方針の違いを考慮してクリニックを選んでほしいと思います。
個別相談ではクリニック選びや転院のご相談も可能です。
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